2009年2月1日 |
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高知医療センターPFI 尾崎知事「全体スキーム見直し」に言及 県民の頭越しにオリックスに譲歩 |
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同企業団がオ社側の「ゼロ回答」を批判し、論争をしている頭越しに、相手側の言い分を鵜呑みにして「企業団批判」ともとれる県トップの発言に、企業団関係者は「知事はどちらの味方か」、「これ以上どこを見直せというのか」と戸惑いを隠せません。 企業団がSPCに求めている6億円の経費を削減する「改革プラン」は、年間約20億円の赤字が出ている同センターの経営を平成23年までの3年間で解決するために、今は高止まりしてPFIの効果(※VFM)が計画どおりに発揮されていない材料費などの圧縮を求めるもの(SPCへの年間支払い総額は約70億円)。 加えて国が「公立病院改革ガイドライン」を示し、23年度までの黒字化を迫っていることもあり、計画遂行は文字通り「待ったなし」。同センター存廃にかかわる最重要課題です。 しかし、SPCは昨年12月9日付文書で「不当な企業団の経費削減要求は認められない」と回答。「改革プラン」は頓挫しています。病院組合議員からは「契約解除の期日を決めて通告する段階」、「パートナーとしての意識が全くない。協議の余地はない」、「これが彼らの本性」などという厳しい指摘が相次ぎ、山崎企業長が「このままではPFI事業を続けていくことは困難」と言わざるえない状態に陥っています。 このような中で、構成団体のトップである知事が、企業団と合意もないまま一方的に「スキーム見直し」を直接口にした「譲歩宣言」に、「味方の大将に後ろから撃たれた。これでは喧嘩ができない。企業団は一部事務組合という独立した自治体で、知事であっても一方的に指図できる関係ではないのに企業団に相談もない。知事は現状を分かって言っているのか」(企業団関係者)。 ■人件費カット では尾崎知事の言う「スキームの見直し」とは何を指すのでしょうか。知事は会見の場では明確にしませんでしたが、SPCの「経費削減は無理」という言い分を前提にしており、考えられるのは医療スタッフ(医師や看護士)の人件費カットだけです。 「医療センターの人件費水準は他の公立病院と比して高くない。ここに手をつけると、医者や看護士が不足し、医療内容に影響する。収益を上げなければならない時にそれは避けなければならない」(企業団関係者) 2月に開かれる病院議会では同企業団の20年度補正予算、21年度予算を議決しなければならず、また同時期に当面の資金ショートを回避するため県議会、高知市議会でも数億円単位の「支援策」を決めなければなりません。日程的にも猶予はまったくない状態ですが、オリックス側のこのような非協力的な姿勢をそのままにして、予算を認め、多額の公費を投入することは議会側も県民に説明ができない状態であり、先行きの不透明さは拭えません。 ■実は追い込まれているオリックス それにしてもオリックス側はなぜこれほどに「高飛車」なのでしょうか。 事情に詳しい関係者は「彼らも追い込まれている。病院の経営ノウハウがないために、『企業団が経費を削減しろと言ってきている』とただ下ろすだけで、協力企業に説得力のある方針を示すことができない。全国初の公立病院PFIが、この有様では今後の全国展開も期待できないし、もし協力企業に引きあげられるようなことになれば契約不履行になる。板ばさみで動けない状態ではないか」。 今、オリックスの「規制改革利権」、利益のために手段を選ばない体質に国民的な批判が高まっています。県民の代表たる知事に求められているのは、「譲歩」ではなく、県民世論をバックに企業団と一丸となって、オリックス側と真剣に対峙し、県民の利益を徹底的に追求していく姿勢ではないでしょうか。 ※1 PFI 公の業務を民間に委託する「規制改革」。民間が資金調達、施設整備、サービスを提供する。同センターでは患者に直接医療行為を行う医療スタッフ、企業団事務局を除くすべての部分がPFI化されている。 ※2 VFM(バリューフォーマネー) @同水準のサービスをより低いコストで提供。A同じコストで、より質の高いサービスを提供すること。 (2009年2月1日 高知民報) 関連トピック 2週間伏せられていたオリックス側の「ゼロ回答」 12月9日付 高知医療センター再建策(2008年12月26日) 高知医療センターPFI解除に現実味 企業長「このままでは事業継続は困難」(2009年1月15日) |