2008年4月6日

連載 続・高知市同和行政の今
L春野地区のごみ収集委託 3838万円で「春野清掃」と随意契約 「覚書」時代と実態変らず

「株式会社春野清掃」の事務所
3月31日、高知市は春野地区の一般ゴミの収集委託業務を「株式会社春野清掃」との間で3838万円で入札によらない随意契約を締結しました(契約期間は21年3月末までの1年間)。「春野清掃」は平成元年に旧春野町が違法な覚書により団体補助金廃止の代わりにゴミ収集委託業務の随意契約を義務付けられていた「部落解放団体連合会」を法人化し、名称を変えただけの会社。この覚書は18年6月に解消されているにもかかわらず、覚書時代と実質的に同じ団体に随意契約を続けることが許されるのでしょうか。

3月12日の高知市議会本会議で江口善子市議(日本共産党)は「春野清掃」への随意契約について質問しました。やりとりは以下。

江口議員 平成元年の覚書は、18年6月の確認書で全て消滅したと考えてよいか。

柴英豊・環境部長 平成元年2月8日付で、春野町と春野町同和会、部落解放同盟弘岡中支部、部落解放同盟秋山支部、及び春野町真政会を構成員とした部落解放団体連合会との間で締結した覚書は、平成18年6月18日
部落解放団体連合会株式会社春野町部落解放団体連合会(18年8月1日に資本金5万円で法人化)→株式会社春野清掃(19年9月6日に名称変更)
 
 同じ団体を法人化し名称を変えただけで実態はまったく変わってない
付の確認書で全て解消している。

江口議員 19年度春野町一般廃棄物収集運搬業務は「株式会社春野町部落解放団体連合会」との間で随意契約されているが、これは解消されたはずの覚書でいう団体との随意契約にあたるのではないか。

環境部長 解消された覚書に関係するものではなく、一般廃棄物収集運搬の許可基準に適合している業者が他にいなかったこと、25年以上の収集運搬業務の経験と実績があることにより随意契約としたもの。

江口議員 「株式会社春野町部落解放団体連合会」は19年度途中で「株式会社春野清掃」に社名を変更しているが、行政の指示があったのか。社名変更、株式会社化だけで実態は変わっていない。市民や議会を欺くものだ。来年度以降の契約はどうなるのか。

環境部長 同社から平成19年8月17日、旧春野町環境下水道課に社名が長すぎて不便なので変更できないかとの相談があったが、社名変更は会社側が決めたもので行政が指示したものではない。合併協議における1市2制度の議論の中で「平成24年度末まで現行の業者に委託できるよう調整する」としていることから、これらを踏まえての経過措置が必要であると考える。

不明確な随契理由
 
市環境部は社名変更は会社側の自主判断と述べましたが、高知民報の取材に「春野清掃」役員は、「印鑑を作ったばかりなのに、市にすぐに社名を変えろと言われて困った」と話すなど実態とはほど遠いものです。

柴部長は取材に対し「トラックで運搬する業者はいるが、パッカー車を使う業者は他にいないはず。入札しても安くならない。土佐山・鏡も5年間は隋契で民間委託した。同様の扱いだ」と述べましたが、入札をしない場合でも、委託条件を事前公表して募集するなど、契約の透明性を向上させる努力が市側に求められているのは当然です。

自治体が契約する場合には、原則入札をすることが地方自治法で定められ、例外的に法令が定める場合に限り随契が認められています。条件とは@契約金額が法令で決められている以下の時(このケースは50万円)、A入札に適しないもの、B緊急で入札ができない時、C障害者支援施設・シルバー人材センター・母子福祉施設との契約などに限定されており、従前のような「政策目的」の随契は排除されています。

今回の「春野清掃」への契約が、法令に定める随契の理由をクリアしていないことは市契約課も認めており、不透明な随契を厳しく戒める全国的な流れからみても、高知市の逆行姿勢は突出しています。(2008年4月6日高知民報)

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