連載 百条委と知事選の取材メモから
2度の知事選挙で明らかになったものは
E百条委調査始まる 国分川問題への元木委員長の関与発覚
波乱のスタートとなった百条委員会
地方自治法百条にもとづく県議会「坂本ダム等に関する調査特別委員会」は、2003年10月20日から実質的に坂本ダム談合と国分川右岸土地問題について調査を開始しますが、10月31日の委員会の冒頭、元木益樹委員長(自民)と一連の「疑惑」の渦中にある横矢忠志社長との関係が指摘され、委員長自ら懸命に「反論」する極めて異常なスタートとなりました。
日本共産党と緑心会の牧義信委員が、県の公文書に元木委員長が横矢氏の立場にたって動いた記録があることを指摘。「不法行為を犯している企業と同じ立場に立って県に働きかけたことは明瞭であり、委員長としての資格が問われる。辞任すべきだ」と提起しました。
元木委員長は、「いいがかり」、「事情がまったく分からないままに横矢氏に言われて同席しただけ」と弁解しましたが、和住に請われ国分川問題での県との折衝に同席したことを認めました。また7月8日に横矢社長が橋本知事を訪ねて四選不出馬を迫り脅迫した時には、横矢氏から「知事に連絡を取ろうとしても相手にしてもらえない」と頼まれ元木氏自ら秘書課長に電話をかけ、知事と横矢社長との面談の約束を取り付けたことも認めました。
委員長が調査対象になっている疑惑の当事者と接点があるようでは委員会の公平性に疑いがもたれることから、このような問題が明らかになれば委員長を交代するのが政治家としての常識的な判断ですが、委員会の多数を占める自民党は元木委員長を擁護し、21県政会委員は「委員長の判断に一任」というスタンスをとったため、元木委員長は「委員長を辞任する気は毛頭ありません」と居座りました。
強力な権限を持つ県議会の「伝家の宝刀」であるはずの百条委ですが、知事選挙に利用するために多数決でゴリ押しされ、委員長には疑惑の当時者と当該問題で関与があった人物が居すわる有り様。百条委の信頼は地に落ち、政治的思惑だけが突出した特異な代物に成り下がってしまいました。元木委員長の国分川問題への関与について、「高知新聞」はどうしたことか「寛容」でまったく問題にしませんでした。
その後の調査の中では、元木委員長は自民党県議団随一の存在感を存分に発揮。坂本ダム談合をクロ認定し、橋本陣営の選挙資金に熊谷組らから調達した金が充当されたと根拠不明なまま断定する報告をまとめるリード役として大きな役割を果たします。
後日判明したことですが、丁度この時期に重なる10月23日、横矢社長と和住工業は元木委員長が金庫番である幹事長を務める自民党県連に2500万円もの巨額献金をしていました。偶然とは思えないような絶妙のタイミングでした。(中田宏)