連載  百条委と知事選の取材メモから
                       2度の知事選挙で明らかになったものは


S選挙を汚した松尾陣営のデタラメ演説

        選挙を前に出回った謀略本、雑誌の反橋本キャンペーン

2004年11月28日に投票される出直し知事選挙で、最も重要な争点は、かつてない経済不況と国の地方交付税削減による深刻化する地方財政と高知県経済への対応でした。

松尾陣営が、選挙中最も強調していたのが、「橋本県政のせいで高知県が全国一の貧乏県になった」というもの。高知県の持つ地理的な条件や小泉・自民党政治の「構造改革」によって生み出されている不況と地方切り捨てに原因を求めるのではなく、経済の悪化の責任を橋本県政に押し付ける噴飯ものの主張をはずかしげもなく繰り返しました。

同時に松尾陣営が繰り返していたのが「中央とのパイプ」。旧自治省官僚出身の松尾氏は「財政のプロ」であり、国から金をもってこれるという、時代錯誤も甚だしい論法で、国と県議会との協調を訴えていました。しかし、高知市財政を破綻させて投げ出した松尾氏がいくら「財政のプロ」と言っても説得力はありませんでした。

当初、「楽観論」が見られた橋本陣営ですが、選挙中盤からは急速に引き締まり、終盤にむけ「草の根」と日本共産党の共同がひろがりました。橋本氏は@地方の主張を貫く、A財政危機の中でのメリハリ、B住民力との連携などの政策を訴え、「三位一体の改革とは名ばかりの、地方への不当な押しつけに対しては、県を代表して戦っていきます」とアピール。県民に浸透していきました。

反橋本勢力にとって今回の選挙は千載一遇のチャンス。家族のことをネタにした怪文書や書店に山積みされた謀略本、雑誌のネガティブキャンペーンはもとより、自民党・公明党の閣僚クラスの国会議員が続々と高知入りして口々に橋本県政打倒を叫んだことは1年前の選挙とはまったく様相が異なりました。

最終盤松尾氏の応援のために高知県に入ってきた大物国会議員は、麻生太郎総務大臣、谷垣禎一財務大臣、冬柴鉄三公明党幹事長、武部勉自民党幹事長、浜四津敏子公明党代表代行、安倍晋三自民党幹事長代理など多数。

選挙最終盤の松尾陣営の演説内容は、県政のことをまじめに語るのではなく、橋本県政を「共産党県政」とレッテル張りすることに終始しました。

中谷元自民党衆議院議員「橋本知事が当選したら喜ぶのは共産党だけ。議席が伸びるのも共産党だけ」、森田英二自民党県議「共産党主導の混乱を極めた高知県の流れがいよいよ変わります」、浜四津公明党代表代行「なぜこんな停滞したよどんだ高知県になったのでしょうか。それは橋本県政が共産党主導の県政だからでございます。橋本県政は共産党県政でございます」・・・・。選挙に勝つためにはデタラメを平気で言う松尾陣営の体質は県民から厳しい批判を受けることになります。(中田宏)