2007年11月7日 |
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コラム「アンテナ」 高知県版「大連立」 | ||
大会の冒頭、アナウンスである人物が紹介された。山本有二前財務大臣・自民党県連会長である。さらには続いて7月の参議院選挙で初当選した民主党の武内則男参議院議員。 2人は最前列の中央に並んで座らされ、今回の「相乗り」を象徴する演出。紹介された時、心なしか渋い表情をしていた山本氏に比べ、武内氏は喜色満面「がんばりまーす!」と大声をあげていたのが印象的だった。 中央政界では、7月に示された参院選での国民の意思に背いて、小沢一郎・民主党党首が「大連立」に傾いたことが批判され、党首を辞める、辞めないで大騒ぎしていたが、高知の県知事選挙では、そんなものはどこ吹く風で、自民・民主の「大連立」どころか、大政翼賛とでもいうような態勢が、まともな政策議論もなく、あれよあれよという間に出来あがってしまった。武内議員はこの現状をどう考えているのか考えを聞いてみたいものである。また山本・武内氏の両サイドには、共産党をのぞく自民党から新社会党系議員までの県会議員がずらっと並び、さながらオールスターキャストの様相であった。 尾崎氏は演説の中で「議会との対話」を強調し、「対立して足踏みしている時ではない」と述べた。どんな相手であっても対話を重視すべきは当然のことであるが、執行部とそれをチェックする議会には、なれ合いを廃し、緊張関係が必要である。理不尽な要求や圧力に対しては毅然とした対応が必要だ。最前列にずらりと並んだ「先生」の前で「議会との対話」を熱心に説く尾崎氏の姿勢を心許ないと感じるのは勘ぐりすぎだろうか。 尾崎氏のマニフェストには、「橋本県政16年間の県庁改革の成果を生かす」、「外部からの働きかけの組織としての情報共有」など橋本県政の積極面を継承しようとするかのような記載もみられ、少人数学級推進の文言まである。しかし、県政の改革に逆行し、ブレーキをかけ続けてきたのは誰か。「働きかけの公表」に徹底的に抵抗して、少人数学級を「昔は50人も60人もいた」と敵視してきたのは誰だったのか。ここに尾崎陣営の悲劇的ともいえる矛盾がある。(2007年11月7日高知民報) |