2007年9月16日

核廃推進団体「高知県地層処分建設協議会」がNPO法人化申請 中谷元衆議院議員(自民)の父親が役員に
核廃誘致推進NPO法人の事務所は、ごく普通の民家だった
旧佐賀町や津野町で高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致にむけた活動してきたグループが、8月27日に特定非営利(NPO)活動法人の資格を取得するための認証を高知県に申請し、本格的に活動する準備を始めています。この団体は「高知県地層処分建設協議会」(梅原務代表)。

11月にはこれまで政府と原子力発電環境整備機構(NUMO)のすすめる処分場建設政策に強く反対してきた橋本大二郎県知事が不在になるなかで、誘致推進派の巻き返しともとれる動きを注視しておく必要があります。
 
同協議会の設立趣旨について梅原代表は「東洋町の轍を踏まないように、地域住民に地層処分の安全性を理解してもらうための勉強をしていく。我々はブローカーではないので、きちんと法人として動けるようにするのが法人化の目的。設立後は、法人、原環機構、国の三者で活動していくことになる」と述べました。

NPO法人格を取得するために提出された書類によると、役員は梅原氏の他に、自民党・中谷元衆議院議員の父親で前大旺建設顧問、前高知さんさんテレビ取締役の中谷健氏(現在は両社から離れている)、梅原氏の友人の銀行OBなどの名前が見られます。

活動計画としては、愛媛県・伊方原発の視察(平成19年度)、茨城県・東海村の核燃料加工施設の視察(20年度)、県内での100人規模の講演会、各市町村長との面談などが予定されています。財政面では、年間1万円の会費、5000円の賛助会費とされているものの、理事長報酬、視察費用、講演会費用など年間数百万円規模の予算が組まれており、実質的には電力会社からの寄付金を当て込んだものになっています。

活動予定は未定 

注目されるのは、中谷衆議院議員の父親である中谷健氏の役員への就任。中谷議員は「原子燃料サイクル開発の円滑な推進に資する」ことを目的にする社団法人・原子燃料政策研究会の理事を1993年から務めるなど(2007年5月13日付高知民報で既報)、高レベル放射性廃棄物最終処分場とは密接な関係を持っています。

梅原氏によると「健氏とは50年来の知り合い。趣旨に賛同してくれたので役員になってもらった。政治的なものは関係ない」と言っていますが、中谷議員のこれまでの行動、高知県が生き残るには「迷惑施設」を誘致するしかないという発言からは到底額面通りに受け取るわけにはいかず、自民党と中谷議員の原子力利権をめぐる思惑が背景にあると考えるのが自然でしょう。

ただ梅原代表によると「申請書類に計画は書いてあるが、具体的な活動予定はまったく未定。旧佐賀町や津野町では、この話は済んだことであり再度持ち込むことにはならない。他の市町村も今のところ目処はない」。「郷土に核のゴミを持ち込むな」という圧倒的な県民の世論の前で、今後の活動はまったくの未知数であるといえます。

高レベル放射性廃棄物 原発から出る使用済み核燃料からウラン、プルトニウムを取り出す再処理をして残った高濃度の放射性物質を含む廃液を30年から50年かけて冷却し、ガラスで固めステンレス製の容器(キャニスター)に入れた「ガラス固化体」のこと。極めて強い放射能を持ち、数万年以上放射線を出し続ける。

地層処分 高レベル放射性廃棄物を300メートル以上の地中に埋める処分方法。「ガラス固化体」を金属容器に封入し、粘土の緩衝材で包んで埋める。建設に10年、廃棄物の埋設に50年かかる。容器の腐食や地震による破損などによる地下水汚染や放射能漏れ、処分場への放射性廃棄物輸送時の危険など、安全性が疑問視されている。(2007年9月16日高知民報)

核ゴミ問題 高知県内でなぜ頻発 誘致の震源は山本有二大臣だった 中谷元氏と「核燃料サイクル」推進団体の役員も(2007年5月13日)