2005年8月15日             


福井照氏 自民公認欲しさに「変節」 二重基準で有権者愚弄

7月5日の衆議院本会議での郵政民営化法案の採決時に棄権していた自民党の福井照議員(高知1区選出)の次期総選挙での党公認をめぐり、同党県連内部で矛盾が深まっていましたが結局、福井氏が民営化賛成という「踏み絵」を踏まされることで一応の「決着」をみました。

福井氏は棄権した理由として「三事業一体の郵政を保障する修正案になっていないので、賛成することが出来なかった。しかし、与党の一員なので棄権という投票行動を選択した」と主張していました。さらに党本部が民営化法案賛成を公認の条件にしたことに「今の法案に賛成するなら公認ということなら賛成しない」「踏み絵は踏まない」と断言していましたが、8月11日には一転して民営化に賛成する確認書を党本部に提出し、「言葉が足りなかった」と前言をあっさり否定し「変節」。元官僚らしい変わり身の早さを見せつけました。

福井氏のこれまでの郵政民営化への考え方は以下のようなものでした。

●「今回のやり方は百年の禍根を残すと思うので、そもそも今回の法案には反対である」、「今回、純粋政策評価として賛成しなかったのであり、投票行動を左右させようとする人々が、選挙のことだけをおっしゃるのは、非常に悲しいと思った。日本には選挙はあっても政治はない、政局はあるけれども政治はない。これは大変悲しいことである」

●「民営化すればこんな良いことがあるという利点が明確に示されていない。民営の方が官営よりも優れているという観念的な事だけで民営化しても良いのか?」

●「民間企業とは、利潤を追求することが経営の責務であり、これが資本主義の大前提。民営化されれば、過疎地の郵便局の多くは赤字なので、多かれ少なかれ消滅してしまうだろう。国には、損得を度外視してもやらなければならないことがある。利潤よりも公共性の高いユニバーサルサービス(全国一律)を提供するのは、国の義務である。三事業バラバラで郵便事業を全国一律のユニバーサルサービスにするのは、経営として成り立たない。過疎地は切り捨てられる。弱者への温かい配慮を考えてほしい」

●「いくら民営化しても、郵貯・簡保も国債を買うしかなく、財投の基を断つことは出来ない。本当の財投の非効率性を断ちたいのならば、財投機関の徹底的な改革をやらなければならない」

(同氏のホームページより)


このように明快に民営化を批判していた福井氏でしたが、自ら指摘していた重大な問題点が何一つ解決されないまま、公認ほしさに自らの「信念」を投げ捨てました。また自民党県議団は昨年10月、県議会で郵政民営化反対を求める意見書に賛成しています(公明党も)。今回のゴタゴタの末の福井氏の変節、中谷元・山本有二氏の法案への賛成は、県民への二重基準(ダブルスタンダード)以外の何ものでもなく、批判の高まりは必至です。