郵政事業の国民の合意なき民営化に反対する意見書

このたび政府は、郵政事業民営化の基本方針骨子を作成し、郵政事業の民営化を構造改革の目玉と位置づけて法案の作成準備に入った。 郵便・郵便貯金及び簡易保険の郵政三事業は、昨年4月から中央省庁等改革基本法第33条の規定により設置された国営の日本郵政公社が行っている。

しかし、同条に「前各号に掲げる措置により民営化等の見直しは行わないものとすること」と明記されているにもかかわらず、また日本郵政公社の中期経営計画(4カ年)の経過も待たずに、政府は郵政三事業の民営化の準備を進めている。今回政府が進めようとしている郵政民営化は、国民生活や国民経済にどのようなメリット、デメリットがあるのかも示されず、議論もなされておらず国民の理解を得たものといえる状況にない。

仮に、民営化が行われると営利を追求せざるを得ず、不採算地域は切り捨てとなり、いわゆるユニバーサルサービスが提供できなくなるおそれがある。さらに地域の郵便局が統廃合されれば、高齢化の進んでいる過疎地では、過疎化に拍車がかかることは明白である。よって、国におかれては、次の事項を実現されるよう強く要望する。

1 郵政事業の民営化を行わず、日本郵政公社を発展させていくこと。
2 過疎地での郵政三事業のサービスを現行水準以下に下げないこと。
3 過疎地における唯一の身近な公共機関である郵便局を廃局にしないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長 森   雅 宣  

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
郵政民営化担当大臣 様


(2004年10月8日可決)