2003年7月20日 高知民報


「圧力排除要領」に自民、県民クラブが難癖 6月県議会が閉会

  自民党提出の「決議」を自民、県民ク、公明などの賛成多数で可決


 10日、閉会した県議会6月定例会で最大の争点になったのが、不当な圧力や口利きを排し、県行政の透明性を高めるために県が策定にむけて議論をすすめている「職員に関する働きかけについての取扱要領」でした。この「要領」策定には県議会の自民、県民クラブなどが激しく反発し、県政を歪めてきた真の原因を棚上げにして「要領」に難癖をつける「県職員の職務倫理確立と県政執行体制の刷新を求める決議」を多数で可決しました。この決議には田頭文吾郎議員が反対討論を行いました(別項参照)。
 この他に「教育基本法の理念を実現を求める意見書」(少数否決)の賛成討論に吉良富彦議員が、イラク特措法の制定に反対する意見書」(少数否決)の賛成討論に牧義信議員が立ちました。また、地方切り捨てを許さない内容の「真の地方分権型社会の構築にむけた三位一体の改革を求める意見書」が全会一致で決議されました。

 「職員に関する働きかけについての取扱要領」は、ヤミ融資事件の最大の教訓であった県行政への不当な圧力を排除するために、外部からあった働きかけの内容を記録に残し、庁内で情報を共有し、県民にも情報公開するというもの。実施にむけて庁内での議論が始まっています。

■責任を職員に転嫁

 自民党が提案した「県職員の職務倫理確立と県政執行体制の刷新を求める決議」は、何が言いたいのかよく分からない内容のものですが、「要領」を妨害する意図だけははっきりしています。説明には浜田英宏(安芸郡)が提案理由に立ちました。
 決議案は「『要領』を策定せざるを得ない状況を引き起こした県職員の意識改革や倫理観向上への努力の欠如」を指摘。「『要領』を必要としない人事管理体制の確立と行政機構への脱皮」を求めました。
 浜田英宏議員は「要領」自体には賛同といいながら、業務外の県職員の不祥事を並べ立て、圧力に屈する県職員の側だけに問題があるという、ためにするとしかいいようのない説明を行いました。
 この決議の賛成討論に立ったのが県民クラブの浜田嘉彦議員(高知市)でした。浜田嘉彦議員は、「ヤミ融資の情報が橋本知事に入らなかったのは知事に問題がある」、「知事は職員を信用していないのか」など、的はずれな知事攻撃を展開。「要領」そのものに頑迷に反対する立場から「決議」に賛成しました。

■闘犬と「解同」

 県議や住民が県に働きかけることは正当な行為であり、何らやましいことではありません。記録に残り、公開されても困ることなどないはずです。何故それほど自民党、県民クラブは「要領」に反発するのでしょうか。
 「要領」策定のきっかけになったヤミ融資事件の最大の原因である不当な圧力とは、部落解放同盟と闘犬センターの弘瀬勝氏からのものでした。
 「決議」を提案した自民党議員団には、当時から弘瀬氏と深い関係にあった実力派議員が健在ですし、賛成討論で「要領」そのものに反対した県民クラブは「解同」の全面的な支援を受けている議員で構成されています。  弘瀬氏と「解同」という2大圧力と密接な関係のある勢力が、「要領」に強く反発していることが、事の本質を図らずも明らにしています。
 決議に反対したのは「日本共産党と緑心会」と「市民の声」の池上孝夫議員だけ。保守系親知事派と言われる「21県政会」、公明党も賛成しました。
 11月の知事選挙にむけた知事バッシングのために、三役退職金減額案が異例の継続審議になったこととあわせて、自民党県議団と県民クラブの“合作”というのが事の本質といえます。

田頭議員の反対討論