連載  百条委と知事選の取材メモから
                       2度の知事選挙で明らかになったものは


M決め手ないまま尋問続く 笠氏めぐる金の流れ次第に明らかに

                              笠氏をめぐる金の流れ


百条委員会は2月13日に町田照代氏の偽証告発を確認した後も証人尋問を延々と続けて行きます。笠氏と橋本大二郎知事以外の証人の顔ぶれを並べてみましょう(敬称略)。

建設会社関係 横矢忠志(和住工業社長)、小川武一(新進建設社長)、永野博之(元熊谷組四国支店長)、土屋貢(元熊谷組四国支店長)、上野晃(元熊谷組四国支店高知営業所所長)、東川昇(元西松建設四国支店長)、中谷明(大旺建設副会長)、神毛英一(元戸田建設四国支店長)、小田尾博(元戸田建設高知営業所長)、斉藤武夫(元佐藤工業四国支店長)

橋本選挙事務所スタッフと町田病院関係 町田照代(町田病院院長、橋本後援会長)、高橋次郎(元選挙スタッフ)、下司孝(町田病院職員)、岡本憲明(町田病院職員)、梅原國利(駅前観光社長)、北岡稔英(会社社長)、土居久麿(町田病院職員)、川添富治子(元町田病院職員)、山本牧子(元橋本事務所会計担当者、栗原千都(田村公平事務所から派遣された選挙スタッフ)

県庁関係 池澤禮司(元県土木部副部長)、榎並谷哲夫(元県土木部長)、井添健介(元県土木部長)、山本博康(元県本山土木事務所長)

その他 吉田裕和(四国銀行帯屋町支店長)、氏原信幸(四国銀行行員)、秋山武子(笠氏が常宿にしていたホテル佐渡の女将)

「疑惑」の核になる建設会社への尋問は、物証のないまま「裏金を出したか」と聞くもので「記憶にない」と言われるとそれまでで真相解明にはつながらないものでしたが、橋本氏の当選後、建設業者が続々と「笠詣」をしていた様子、熊谷組高知営業所で不自然に多額の現金が出し入れされていたことが判明しました。

選挙スタッフの証言では、笠氏周辺で多額の現金が動いていたことを認める一方、金の性質や橋本氏との関係などは分かりませんでした。事務所幹部だった梅原國利氏は「笠氏は資金は誰にもタッチさせず自分で処理していた」、「選挙中に天の声は俺が出すと言ったのを聞き利権目的の人物だと警戒心をもった」と証言しました。

笠氏の錬金術 

金融機関から入手した資料を調べる中で、笠氏が建設会社から受け取ったと思われる金の存在が明らかになってきました。平成3年12月に相手先不明の5800万円が四国銀行の笠氏名義の口座に入金されていました。「裏金」の一部と推測されます。

一方「使途」についても新事実が判明しました。笠氏は平成3年11月14日に1000万円、11月27日に1000万円を東京産業信用金庫穴守支店の自分の口座に入金していました。

すでに明らかになっていた2000万円とあわせ自分の口座に4000万円も抜いていたのです。抜きすぎたからか1000万円を戻しています(平成3年12月26日、笠氏の息子の妻の名義で)。

笠氏の不透明でいかがわしい金銭操作の実体が浮き彫りになりました。「知事の窓口」を称して金をせしめてがっぽりピンハネ・・・。建設会社も、まさか自分たちの出した金がこのような使われ方をされていたとは思わなかったことでしょう。 (中田宏)