連載 百条委と知事選の取材メモから
2度の選挙で明らかになったものは
L依光県議が和住所有地を県産廃用地に知事に斡旋していた
依光県議が斡旋した和住の所有地
高知民報のホームページに掲載した、町田照代氏の偽証の証拠である徳島銀行の振込伝票ですが、町田氏サイドからクレームがついたからか、徳島銀行が県議会を通して「掲載をやめよ。やめなければ今後の調査には協力しない」言ってきました。板挟みになった議会事務局職員は困惑した様子で、「百条委に強制捜査の権限はなく、銀行の協力が得られないと今後の調査に支障がでるかもしれない」と繰り返しました。高知民報としては、百条委が入手した情報は基本的に県民にオープンにされるべきであり、徳島銀行の掲載中止の圧力は不当と考えましたが「疑惑」を調査中の段階で、調査に支障をきたすのは本意でないことから、一時的に掲載を見合わせる対応をとりました(その後再掲載)。
町田氏の偽証が明らかになった直後の2004年2月県議会では、勢いづいた自民党は橋本大二郎県知事を激しく攻撃します。その中でも程度が低かったのは3月9日の予算委員会での「疑惑の仕掛人」・依光隆夫議員(自民党)の質問でした。
「もし自分が知事の立場であれば、責任があるかないか、上司として信頼されるかされないか。1点目は責任がある、ない、2点目は、信頼される、されないで簡単明瞭にお答えください。県庁職員で最もベテランでございまして、人事管理も経験をされておるはずの出納長、教育長、続いて総務部長から順次、理事を除いてお答えをいただきたいと思います。最後に副知事に感想を含めてお聞きします。なお、教育長には、この2点とあわせまして、学校現場で教師への指導の際や、父兄や子供に堂々と知事の話ができますか、どうか簡単にお答えいただきます」
いやがらせとしか思えない無内容な質問には執行部も困ったと思いますが、島田一夫出納長の「私どもがお答えする範囲の問題ではないと思います」にはじまり、吉良史子副知事「知事であればという御質問にはお答えをするという立場ではございません」まで執行部15人が答弁させられました。
依光議員の矛先は橋本知事の妻・孝子さんにも向かいます。「最近、私の手元に届いた投書の一つを紹介しますと、上林暁文学館建設事業について知事夫人の強い申し出を受けて東京の業者に設計を発注した。市町村の箱物や備品購入について(孝子さんが)異常なほど関与しているとの投書や声があります。県のトップレディーとして公私混同ではないかと思うが、この声があることを知事は知っているか」
橋本知事は作り話であると否定し、「週刊誌や市内を回っている街宣カー、選挙の際の怪文書と言われるようなビラであれば、こういうお話も結構かと思います。また、私自身は公職にございますので、いかような誹謗中傷も甘んじて受けます。しかし妻の人格を否定するような批判をこうした公の場でなさるということには大変な怒りを感じます」ときびしく反撃しました。
この日の予算委員会では依光議員が、国分川の水面下の土地を資産価値の高い国有地と交換させようと県に強硬に働きかけて国有地の不法占有を続け、昨年の知事選挙で橋本4選阻止の中心になり動いた和住工業(横矢忠志社長)が所有している土佐山田町の土地を、県の産廃用地として知事に斡旋していたことが知事の答弁で明らかにされ、横矢・和住工業社長と依光隆夫議員の密接な関係が暴露されました。
橋本大二郎県知事 昨年7月16日に依光議員が知事室に来た時に、日高村のエコサイクルセンターについて、「このままだと日高村での整備は無理かもしれない。ただそれに代わる適当な土地が土佐山田町内にある」という話をしながら、地図を渡された。その後、調べてみると、この土地は、今回の一連の出来事のきっかけとなった国分川の中の土地について、県の考え方を変えてくれということを13年前の選挙の資料だというものをちらつかせながら話したご当人が経営する企業がほとんど持っている土地だった。特定の企業が持っている土地について、県の公的な事業の用地として斡旋仲介をする行為に大いなる疑問を感じた。(中田宏)