2007年10月14日

連載「橋本県政の16年 県民本位の改革の行方」
H同和行政をいち早く終結

解同県連の県教委交渉。報道に公開されている(2007年9月20日)
県は「闇融資事件」を機会に、橋本知事の強いイニシアチブで平成13年度途中から、同和対策の特別措置法が年度末で期限切れるのを待たずして同和行政終結へと大きくハンドルを切りました。

13年5月31日には、県民の知らないところで部落解放同盟との間に交わされ、解同県連副委員長が副委員長を務める「よこはま水産」に対して金融機関に特別配慮を求める念書などを含む、県が保有する「念書・覚え書き」793通をすべて公開。県民に明らかにできない約束は絶対にしないという意識を県職員に徹底しました。

同和地区と同和関係者に対象を限定した施策は廃止し、同和団体への団体補助金を廃止(13年度当初予算。この予算には日本共産党県議団が史上初の賛成をしている)。児童生徒の「差別発言」に「解同」が確認糾弾で学校に介入するやり方ではなく学校が主体的に問題解決を図る方向へとシフトしました。

また特定議員や特定団体のコネの温床となり県政をゆがめる「働きかけ」についても15年から公表することにしました。

県同和行政の転換を最も象徴していたのが、同和団体との交渉のオープン化でした。「モード・アバンセ」「よこはま水産」など大きな問題を起こした「解同」系企業への県行政の異様な偏向した肩入れの背景には、密室における大人数による高圧的な「交渉」がありました。

しかし、13年9月以降は、同和団体との交渉は報道陣に公開し、会場は県庁周辺、参加人数も常識的な範囲に絞って終了時間を守り、交渉内容は県が記録し、概要を公開していくこと徹底することになりました。この県の交渉スタイルは高知市で今も行われている「密室」での「解同」との交渉と比べるとその差は歴然としています。

「高知民報」は14年12月以降、「解同」の県・県教委交渉を取材してきました。全国的でこのような例はなく、橋本県政における同和行政転換への決意を象徴する事例であるといえます。県がこのような対応を貫けるのはトップの毅然とした姿勢が決定的。ゆがんだ同和行政が依然として続いている大阪府や、岡崎誠也市長を先頭に「解同」高知市協に頭の上がらない高知市と比べると先駆性は鮮やかです。

同和団体との交渉の公開は19年現在も続いており、団体に対する職員の意識も、当初は萎縮するような雰囲気も残っていましたが、徐々に特別に意識することもなくなってきています。同和行政を根拠付ける法律が消滅した中で、トップの毅然とした姿勢、職員の意識変化、県政に利権を求める余地がなくなっていることもあり、解放同盟の県政への関心はもはや高くなく、「主戦場」は市町になっています。

橋本知事は「闇融資」での元副知事らの実刑が確定したことを受けて、もはや「闇融資」のような事件がおこる体質は県職場にはないと評価していますが、同和団体との交渉の現場からもそのことは実感されます。同時に「働きかけ」の集約は極端に少なくなり形骸化しつつある危険も指摘されており、常に原点に立ち返り、公開の原則の徹底、県民に説明できない仕事はしないという姿勢を徹底していく必要があります。(2007年10月14日高知民報)