2007年9月30日

連載「橋本県政の16年 県民本位の改革の行方」
F高知商銀 巨額焦付き事件
高知商銀は経営破綻し、広島商銀に引き継がれている
2000年3月、橋本県政3期目がスタートした直後、県政を揺るがす「闇融資」事件(2007年8月に山本卓・元副知事などの背任罪による実刑が確定)が発覚し、橋本県政は大きな試練にたたされます。

この問題の発端は、前年の99年4月に明らかになった「巨額焦げ付き事件」に遡ります。

同事件は、県商工政策課長を務めていた県幹部・都築弘一海洋局次長(当時)が、大豆の「先物取引」にのめり込み、在日韓国人系信用組合「高知商銀」から同銀に指導監督権限を持つ県の立場を悪用して、5億2500万円の融資を、その大半を無担保で違法に(貸し付け限度額を大幅にオーバー)受けて、焦げ付かせるという、前代未聞の大事件でした。事件を契機に「高知商銀」は経営破綻。都築氏は逮捕されます。

事件発覚後の1999年5月の臨時県議会では、橋本知事への初めての問責決議が賛成多数で可決されました。

事件発覚直後の知事の認識は、「この幹部を信用仕切っていたので適切な対応ができなかった。多額の借金があることの報告は受けていたが、借り入れは私事によるもので、返済のめどもついたと聞いていた」という不十分きわまりないものでした。

同臨時議会で質問に立った梶原守光議員は「幹部を信じ切っていた。個人的借り入れ」などという知事の認識を厳しく批判。「この事件は表沙汰にしないでおこうという県組織の古い意識構造、人事管理のあり方に教訓を残した。知事は情報から疎外されているのではないか」と指摘しました。

事件の鍵となったのが、@県幹部が職務をゆがめ違法な融資を行えるような県庁の「土壌・体質」、Aそして知事の「情報疎外」でした。この2つの鍵は後に明らかになる「闇融資事件」の重要なキーワードになっていきます。

県議会は「巨額焦げ付き事件」の調査特別委員会を設置し、事件発覚当時副知事だった山本卓氏や商工労働部の関係者から話を聞いて真相解明に取り組みました。山本氏は1999年7月9日の特別委で、都築次長から事情を聞いた時に「身じろぎもせずに返せると言うので返せると思った」、「違法ということは知らなかった」などと説明。融資の違法性についての情報が副知事にあがっていなかったことが明らかになりました。

これらを受けて橋本知事は、不祥事の責任をとる形で9〜11月の3カ月分の給与を全額カットするという処分を自らに課しました。(2007年9月30日 高知民報)