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せっかく資料を集めても集約しなければ活用はできない |
「生徒の学び」を保障するために家庭の教育費負担をいかに軽減するかが重要にテーマになる中で、県教育委員会高等学校課は来年度にむけて検討をすすめている高校授業料の減免や奨学金制度見直しの資料にするため、授業料とともに家計に重い負担となっている「PTA諸会費」や「ホーム費」など保護者負担の全容が分かる資料を県下38校から集めています。
高等学校課が5月7日に各学校長に出した通達文には「大変厳しい経済状況にあることから、現在の奨学金制度や授業料等免除制度の見直し等を検討しているところですが、その検討にあたり、実際にどれだけの費用が必要であるか把握したいと考えています」とあり、入学時に各校が保護者に配布した徴収金額の記載された書類提出を求めました。
「PTA諸会費」の名目で集められている費用はPTA会費、振興会費、生徒会費、施設整備費、同窓会費、生徒遠征費、空調費用など多岐にわたり、この他にも制服、教科書・副読本、体操服、修学旅行、卒業アルバムなどに加え、実習用機材や模試の代金など学校によって保護者負担の内容は様々です。
高校3年間で必要な保護者負担費用(通学、クラブ関係、食費などは除く)を合計すると、およそ80万円程度になります。授業料は3年分で約35万円であることから、授業料以外の部分に重い負担がかかっていることが分かります。
授業料には減免制度がありることから、所得が一定水準以下で授業料が免除されている世帯でも、「PTA諸会費」や「ホーム費」などはすべて一律に支払わなければならず、重い負担になっている実態があります。
問題は、高等学校課では各学校から集めた資料を綴じただけで、分析や集計をしない考えであること。家計負担の実態を調べることが調査の目的であるにもかかわらず、「記載が各校ごとにバラバラで集計ができない。手持ち資料として持っておく程度」(高等学校)。
各校の資料を集めただけで集計分析や学校ごとの比較ができないことは初めから分かっていることであり、県教委側が統一様式を作成して、各校に記入させれば済むこと。分析も集計しないのでは「宝の持ち腐れ」で調査に値しません。おざなりに資料を集めて事足れりとしているようでは、県教委に家計の教育費負担を真剣に検討するつもりがあるのかどうかさえ疑わしく、ひいては生徒の「学びの保障」を真面目に考えているとは思えないのが実感です。(2009年6月7日 高知民報) |