2009年1月18日

連載「どこへ行く 高知の教育」 A君が代斉唱 声量チェックへ
県立学校校長会議(09年1月6日)
1月6日、高知市大原町の県教育センター分館で県立学校校長会議が開かれました。県教委が県立学校の学校長に、昨年頻発した不祥事の防止策、平成20年度末にむけた取り組み、21年度予算の見通しなどを徹底することが目的の会議でしたが、議題のひとつに「国旗国歌について」という項目がありました。

川村文化美・高等学校課長の「国旗国歌について」の報告は以下のようなもの。

「県議会で学習指導要領に沿って国歌斉唱が適切に行われているかという質問があった(※)。全員が歌えるよう、儀式の予行練習、音楽の授業などで歌唱指導をお願いしたい。小中学校では音楽や社会の授業で国旗国歌を扱うようになっているが、これを本当に授業で教えているのか、また高校や県立中学も含めて、各学校で式典の際に全員が本当に歌っているのかを調査したらどうかという質問もあり、調査すると答えている。例年の入学式・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱についての調査票の様式を変え、教職員や生徒が本当に声を出して、歌っているのかについて調査することになる」。

「本当に声を出して歌っているかどうかを調べる」ということは、式場で生徒や教職員の声量のチェックをするということにほかなりません。

「君が代」は、第二次大戦と深いかかわりがあり、歌詞が天皇制礼賛の内容を持つことから、県民の中にも受け止めは様々です。個人の思想信条の自由を侵し、「口をこじ開けて」歌わせるような非教育的な調査を、県議会の圧力に押されて実施することは、教職員のみならず、生徒や保護者へも強制を強めることになり、重大な問題が含まれています。

県教委関係者に「君が代の声量の大中小を調べるのか」と取材したところ、「ボリュームをチェックするというようなものではない。本当に歌っているかどうかを分かるものにするということだ。どういう調査項目にするかは、これから決めるが、確かに難しい面はあるかもしれない」とコメントしました。(中田宏)

※昨年12月9日、県議会本会議で教員出身の三石文隆県議(自民党)が行った「国旗国歌」についての質問と中沢卓史・県教育長の答弁要旨は以下。

三石議員 国旗国歌について学習指導要領ではどのように取り扱うことが決められているか。過去5年間、公立小中学校、県立学校における入学式、卒業式の国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況は。

中沢県教育長 小学校の新学習指導要領音楽では「君が代」はいずれの学年においても歌えるよう指導することとあり、各校種とも特別活動で儀式的な行事である入学式や卒業式において、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導することが示されている。公立小中学校においては19年度入学式以降は100%実施。県立学校については過去5年間すべての学校で国旗掲揚国歌斉唱が実施されている。しかし国歌斉唱については、学校により全員が歌っている場合もあるが、一部だけ、まったく歌っていない場合もあると承知している。各学校が教育計画の中に指導を適切に位置付け実施するよう指導していく。

三石議員 100%と言うが、実際には斉唱されていない。学習指導要領では「国歌を斉唱するよう指導するものとする」とされている。世界を見て、自国の国旗を胸張って掲げ、国歌を胸張って斉唱することができない国があるのか。確かに戦前、国旗国歌には不幸な時期もあったが、63年たった今、いまだにこのような状況。報告は100%となっているが実際にはやられていない。虚偽の報告がなされている。もう少し詳しく実態を調べてほしい。

中沢県教育長 最近は100%だが、国歌斉唱は、全員が歌っている学校、一部だけ、まったく歌っていない学校があることを承知していると答弁した。実態がどのようになっているか、どのような形で取り扱われているか調査する。

三石議員 国旗国歌は基本中の基本だ。教育改革といろいろ言われるが、すべてにおいての基本。国旗国歌を大切にしない国がどこにあるのか。そういう国があったら教えてもらいたい。(2009年1月18日 高知民報)