2006年5月21日

連載 記者クラブを考える
Bあいまいな記者クラブの組織実態

  県政記者室
組織としての「県政記者クラブ」について話を聞くために、クラブに所属する記者に取材を要請しても、なかなか要領を得ないことが多くあります。

回答で最も多いのが「異動してきたばかりなのでよく分からない」、また「クラブを代表して話す立場にない」。

確かに各社からクラブに配属されている記者は3年もすれば異動することが多く、経過についてよく分からないのが現実ですし、クラブを代表すると目される幹事は毎月2社による輪番制で(同クラブ規約による)、代表して外部に話ができないというのも理解できますが、結果としてあいまいで分かりにくい組織になっています。
では県政記者クラブに記者を派遣している新聞社や放送局側に話を聞いてみたらどうか。しかし全国紙の支局長クラスに聞いても(各社の主張は後日紹介する予定)、「クラブのことについては現場に聞いてくれ。こちらではよく分からない」という言い方をされます。要するに誰に聞いてもよく分からない組織実態になっているのです。

また実質的な代表が不在のために何か意思決定をする時には加盟社によるクラブ総会を開いて意思を確認することになりますが、14社の県政記者クラブ加盟社は、地元紙と全国紙、常駐社と非常駐社、テレビと新聞など、利害や考え方が様々であり、新しいことを決めることが困難で、改革が進まないという面もあります。

ある新聞社の記者は「はっきり言って記者クラブのことや記者室の使用について何かを考えたことは一度もない。はじめからこんなものと思っていた。日々の事で精一杯で、考えなければならない場面がなかった。みんなそうではないか」。特権の享受が体質化されていることがよく現れている正直な発言です。

記者室使用の実態

実際には県政記者室を県政記者クラブはどのように使用しているのでしょうか。県政記者クラブに加盟している14社ごとに使用の実態はかなり異なります。

最も頻繁に使用しているのが新聞社ですが、高知新聞と他の全国紙ではかなり様相が違います。高知新聞の県政記者クラブへの登録は約10人で政治部、経済部、社会部のメンバーを配置。常時記者室に常駐しているのは政治部3人。読売、朝日、毎日は登録3人で概ね1人が、ほぼ終日記者室を拠点に動いています。日経、産経には常駐はなし。テレビ局ではNHK以外は記者室に常駐はしておらず、取材や会見のある時に使う程度です。朝日放送など県政記者クラブに登録はしているものの大きなニュースがある時以外は姿を見せない社もあります。

記者室の机の配置は高知新聞4区画、NHK2区画、他社はほぼ1区画ずつを使用してパソコンや資料を置き、記事を書いて写真を会社に送っています。電話・ファックスについては現在は各社が各社の卓上に電話を引き通信費は各社負担。コピーや室の新聞代、NHK受信料、コーヒー代などはクラブ加盟員が払う会費からまかなわれています(会費は会社側が負担する。記者に月額を聞いても「分からない」との回答で不明。おらく月300〜500円程度と思われる)。記者室の中央にはソファとテーブルが並べられちょっとした応接、昼寝、小規模な記者会見、レクチャーという名の県の説明会の場所などに使われています。