2008年2月24日

連載 続・高知市同和行政の今
G春野町との合併の中で 「児童館」

弘岡中集会所(春野)の学習スペース
高知市の同和行政の柱として@「市民会館」、A同和向け市営住宅公募の特別扱い、B同和団体への随意契約による業務発注と並び、大きな比重を占めるのが「児童館」です。

本来の児童館は児童福祉法による児童福祉施設で、子どもに健全な遊びを提供することを目的に設置され、同和行政とは無関係なものですが、高知市の場合は旧同和地区だけに「市民会館」(隣保館)とセットのような形で「児童館」があります。活動内容は児童福祉法の「子どもに健全な遊びを与える」という趣旨とはかけ離れていますが、実態は市民にほとんど知られていません。

現在、高知市には9つの「児童館」と、3つ(うち1が春野)の集会所で「児童館活動」が取り組まれています。
 
「児童館」の活動内容

いくつかの「児童館」で目につくのは、部落解放同盟流の特異な運動理論にもとづく「解放こども会のうた」などの掲示。100%市費で運営され、指導員も市の非常勤職員であるにもかかわらず、特定運動団体の強い影響下にあることが一目瞭然(最近はこの種の掲示を外す館も増えてきている)です。

小学生が学校帰りに寄り指導員の監督下で宿題をして遊ぶ。特定の個人ごとに机やロッカーが決められ、実態は学童保育と大差なく、(開館は月曜から土曜の午後とされている)。固定的に利用している児童が10人以下の館も少なくありません。公立中の定期テスト直前、夜間に教員が「児童館」に出向きテスト対策の勉強会を開く「促進学級」の実施。特定地域だけ教員が出向いてテスト対策をするのは「逆差別」という批判がありますが、生徒や保護者にも実態がベールに包まれており、未だに温存されています。この他にも「子ども会」の行事として取り組む、遠足やパーティの、バス代や菓子代、イベントに参加する際のタクシー代まで、すべて市費でまかなわれて利用者負担はなし。

児童館の本来の設置目的は「子どもに健全な遊びを与える」こと。不特定多数の児童に開かれた施設でなければなりませんが、「児童館」の実態は特定地域のごく限られた児童生徒に向けた無料の学童保育、「塾」と化しています。

春野時代の運営

今年1月の高知市と春野町との合併前、春野では「児童館」に準ずる施設(教育集会所)が旧同和地区内で一館運営されており、非常勤指導員が1人雇用されていました。春野時代の運営は以下。小学生=毎木曜日、15時から17時半。中学生=毎水曜日、19時30分から21時。指導は町教委から委嘱された春野西小、春野中の教員が行っていました。

春野では部落解放同盟の力が弱いこともあり、解放教育のイデオロギー持ち込みは特に感じられず、「加力指導」に重きを置いた活動が行われていました。

ここで問題になるのは春野西小の教員が勤務時間内に指導に出ていたこと。教員には1時間1050円の謝金が公費から支払われており、給与との二重取りになるおそれがあります。今年1月1日の合併以後は、高知市の現行基準に合わせて春野でも月曜日から土曜日までの開館とされ大幅増強。日常の指導は「児童館」指導員があたり、学校から教員が行く時には、勤務時間外の「有償ボランティア」となりました。

市人権教育課に1月以前の謝金のあり方について見解を問いましたが、「合併前のことを聞かれても困る。当事の春野町教委は勤務外というとらえ方をしており、謝金が支払われても問題ない」との回答。勤務時間内に教委の委嘱で指導していにもかかわらず勤務外であるという苦しい回答が返ってきました。(2008年2月24日高知民報)