2008年2月3日

連載 続・高知市同和行政の今
E春野町との合併の中で 「同和保育」

高知市では「同和加配」は廃止され、家庭支援推進保育加配が広がっている
旧春野町と旧高知市の「同和保育」の現状はどのようになっているのでしょうか。旧高知市では保育料の同和減免は平成14年の「同和行政見直し」で段階的に廃止。現在、同和保育との関わりで目に見えるのは保育士の加配だけになります。

旧高知市では旧同和保育所ということを理由にした保育士加配は、平成14年に廃止。以後は「家庭支援推進保育加配」として旧同和地区の線引きとはかかわりなく、民間園を含む全園を対象にして、園児や保護者の状況により加配を実施し、園児の家庭に生活保護(A階層)、住民税非課税(B階層)、一人親世帯などが占める割合が一定の水準を超えた場合などに加配されることになっています。

平成19年度の加配実績は、旧同和保育所に10園11人(民間園を含、国加配1人含)、旧同和保育所以外の一般園に22園22人。旧同和保育所全園が該当する一方で、その2倍以上が一般園に配置されています。

一方、旧春野町には公立7園、民間1園の保育園がありますが、このうち同和保育所として設立された経過がある1園だけに2人の加配保育士が配置されています。配置の理由については旧春野町の健康福祉課の当時の担当者は「同和加配という考え方で加配している」という認識でした。

20年1月1日以降、旧春野町立保育所は高知市立保育所として扱われることになります。「同和加配」をしていない高知市の方針との整合性について市保育課に聞きました。

−−春野の旧同和保育所の加配は何人か。

保育課
 2人。

−−「同和加配」をやっていない旧高知市の園との矛盾はないのか。

保育課年度内に保育環境を大きく変える訳にはいかないので3月までは現状で行くが、4月からは高知市の基準で加配するかどうかを決める。

−−市費の加配は1園1人だが、2人ということもあるのか。

保育課 子供や保護者の状況によるが、2人は難しいのではないか。
 
このように次年度からは「同和加配」ではなく、「家庭支援推進保育加配」に統合する方向が示されました。

さらに旧高知市に今も残存している、旧同和保育所に「属地・属人」=旧同和関係者が入園を希望した場合に、一般希望者よりも優遇するという「逆差別」的な扱いについて、春野の旧同和保育所で、今後どのように扱っていくのかも課題になります。実質的には、旧春野町立の保育所は最近は園児が全園で定員に達していないために、「優先入所」の必要性がなかったというのが実態です。旧同和関係者を優遇する根拠もないまま、慣習的に「優先入所」を今も残している高知市の扱いは到底市民の納得が得られるものではありません。保育行政の公平性の根幹にかかわる問題であり、直ちに正すべきものといえます。(2008年2月3日高知民報)