2008年1月27日

連載 続・高知市同和行政の今
D春野町との合併の中で 「随意契約(2)」

「覚書」を解消する確認書
高知市と春野町の合併にともなって、旧春野町分の一般家庭から出されるゴミ収集は民間業者に委託、旧高知市分は市直営で収集するという「1市2制度」が平成24年度まで続くことになります。

前号で紹介したように高知市環境部は、春野分のゴミ収集については「株式会社春野清掃」に随意契約による委託を24年度まで続ける方針を明らかにしています。

19年度の春野清掃への委託費は3400万円でした。しかし、この金額はかなりあいまいなものです。たとえば旧春野町時代には、ゴミ収集に使うパッカー車を春野町が購入し、「春野清掃」の前身である、「部落解放団体連合会」に無償貸与していました。

高知市との合併にあたって、これまで同様の貸与という形では通用しないことから、町は合併を前に「春野清掃」側に車を無償で譲渡しています。このようなことから3400万円の委託費には、車両費はきちんと含まれていない計算になります。

高知市が今から20年度のゴミ収集を随意契約によって「春野清掃」と委託契約を結ぶ場合、委託金額は高知市の基準で厳密に積算して算出しなければなりませんが、その際には19年度までの3400万円よりも高額になる可能性があります。

高知市環境政策課では「これから積算作業をしていくので、今は金額について何も言えないが、確かに金額が上がる可能性はある」。

旧春野町時代に平成元年に交わされた「覚書」で、同和団体への団体補助金廃止の「穴埋め」=形を変えた団体補助金として町が委託を強制させられていた団体(部落解放団体連合→株式会社春野町部落解放団体連合会→株式会社春野清掃へと名称変更)に「『覚書』は解消された」と言いながら合併後も実質的には何ら変わらぬ随意契約を続けることは、違法契約に該当する可能性が大きく、住民訴訟を起こされた場合には、高知市に厳しい判断が下ることは容易に想像できます。

まして随契金額が19年度より増えるなどということになれば批判の高まりは必至です。過去に「覚書」という経過があったにせよ、「春野清掃」が適切な入札手続きを経て、ゴミ収集業務を請け負うのであれば、なんら問題はありません。入札の準備を怠り随契を続けることに固執する高知市の姿勢こそが大きな問題です。(2008年1月27日高知民報)