2008年1月20日

連載 続・高知市同和行政の今
C春野町との合併の中で 「随意契約(1)」

株式会社春野清掃の事務所は普通の民家だった
高知市と春野町の合併協議のさなかの平成18年7月。春野町における一般廃棄物の収集業務を、同和団体への団体補助金打ち切りの見返りとして「部落解放団体連合会」(春野町同和会、春野町真政会、部落解放同盟弘中支部、同秋山支部で構成)に随意契約で委託することを確約した念書に基づいて委託契約が独占的に結ばれていることが判明します。

高知市議会では、この念書が問題となり、高知市の執行部は念書に違法性があることを認めて、解消することを条件に、合併協議がすすめられてきました。

合併にあたっての確認書では、「ごみ収集にかかる覚書」について、「団体補助金の代替措置としての覚書に基づく随契は不適切であり解消が必要」と指摘し、平成18年6月に覚書解消の確認書を春野町と同和団体の間で締結して問題はすでに解決したと報告されていました。

しかし調べてみると「解消」とは、ほど遠い実態が。旧春野町のゴミ収集業務は念書の時代と実質的には何ら変わっていないことが明らかになってきました。委託契約の内容は、旧春野町の約200カ所のステーションに一般家庭から出されるゴミを焼却場へ収集運搬する業務で、委託費は年間3400万円(19年度)で、現在業務委託を請けているのは「株式会社春野清掃」。

この会社が18年8月に法人化される以前の名称は「部落解放団体連合」という任意団体で、法人化後に「株式会社春野町部落解放団体連合会」となり、19年9月に名称を現在の「株式会社春野清掃」へと変更しています。つまり、念書時代に委託を請けていた団体が、法人化して、名称を変え現在も同じように随契で同じ業務を委託されていました。

高知市環境政策課は「平成24年度までは今の随契でいく」との見解。合併の論議では「覚書は解消した」と強調しておきながら、委託業務の実態は変わらないのでは、議会や市民を欺くことにつながります。またこのような不正常な随契が温存されることで、違法契約の責任を高知市が追及される可能性もあります。

これらの一連の動きには高知市環境部が深く関与していました。ある旧春野町関係者は「法人化させたり、名前を変えさせたのは、全部高知市側の強い指示」と述べているように、念書に基づくこれまでの随契を24年度まで続けるために、小手先のカムフラージュをしたことが読みとれます。

違法契約

「株式会社春野清掃」の事務所を訪ねてみると、看板や事務所もない通常の民家でした。取材に応じた役員は「高知市とは24年度まで今の随契が続くという話になっている」と述べました。しかし地方自治体が契約を結ぶ場合には、原則入札によることが地方自治法で定められており、例外的に法が定める条件に合致する場合に限り入札によらない随意契約が認められています。

では20年度以降も「春野清掃」に随契で委託する理由は何なのか。高知市環境政策課は「ゴミの収集は24年度までは1市2制度でいくことになっており、このような場合には随契が100%ダメということにはならないのではないか」とあいまいな回答。また「念書」が破棄された(18年8月)後の19年4月に、株式会社春野町部落解放団体連合会に再び随契で委託した旧春野町の担当者に「念書を破棄した後も実質的に同じ団体になぜ随契をしたのか」と理由を尋ねると、「他に適当な業者がいなかったから。念書は破棄されており同和団体であるからという理由ではない」と述べました。

これらの「理由」は今後も入札をしない根拠には到底なり得ず、このままの随契を続けることは違法性を問われることになりかねません。

また「念書」を破棄したからには、高知市に広く残されている同和団体への「仕事保障」として扱うこともできないはずで、来年度以降の随契を市民にどう説明するのか、高知市は苦しい立場に立たされています。(2008年1月20日高知民報)