2008年9月21日

連載 続・高知市同和行政の今
26 市民会館 使用料値上げの対象外

使用料がひきあげられる西部健康福祉センタ−
高知市は9月2日、平成21年度に60億円の一般財源の不足が見込まれるとして、手数料・使用料の全面的な一律値上げを行う作業に入っていることを公表しました。12月議会に関連議案を提出するとしています。

@手数料(住民票や印鑑証明などの交付を受ける時に支払うもの)は原価計算による受益者負担を原則とする。

A使用料(公民館や体育館など市の施設を使う場合に支払うもの)は、全体経費のうちの受益者負担分の比率を4分の1から3分の1へ引きあげることをめざしながら、一挙に3分の1にすると実質34%の大幅値上げとなるため当面は17%の値上げにするという内容でした。同時に使用料の減免措置についても見直していくこととしています。

使用料見直しの対象になっている施設は、ふれあいセンター、市民活動サポートセンター、障害者福祉センター、健康福祉センター、母子福祉センター、保健福祉センター、文化プラザ、中央公民館、自由民権期記念館、青年センター、総合運動場(大原町)、東部総合運動場、針木運動公園など多岐にわたり、市民の様々な文化・スポーツ活動の拠点として多くの市民に日々利用されている施設です。

執行部は、値上げ案の理由説明で「受益者負担」を求めていく重要性を強調しました。 

ところが、この一律値上げ案には隣保館=「市民会館」※は除外され、対象になっていません。なぜか。高知市立市民会館条例第8条で「市民会館の利用については使用料を徴収しない」と定められているからです。

同和行政を根拠付ける関係法令が失効して7年間が経過し、「市民会館」の活動は、旧同和関係者だけを対象にするのではなく、広く一般市民に開かれた施設に脱皮しなければならないにもかかわらず、あいかわらず旧来の同和対策の延長線から抜けきれず、「市民会館」の使用料徴収の検討すら行われている形跡は見られません。

「市民会館」には正職員が2人以上常駐していることから、使用料を徴収する事務は簡単にできるはず。「市民会館」だけが「受益者負担」と切り離され、使用料をとらない理由がどこにあるのでしょうか。すでに使用料が徴収されている多くの施設に対しては「受益者負担」を声高に強調して一律の大幅値上げと市民負担を求めながら、「市民会館」は無料を温存して手を付けない高知市の姿勢はダブルスタンダードそのもの。取りやすいところだけから取るような不公正な姿勢は、市民の納得を得られるものではないでしょう。

※旧同和地区に設置されており、使用はすべて無料。朝倉総合、海老川、朝倉、松田、西山、潮江、小石木、小高坂、一宮、介良、長浜、春野秋山、春野弘岡中の13館。全館に正職員が2人以上配置されている。(2008年9月21日 高知民報)