2008年9月7日

連載 続・高知市同和行政の今
25 災害対策支部 人員のアンバランス

市民会館に設置されている地域防災無線(長浜市民会館)
9月1日は「防災の日」。高知市行政にとって、南海地震や台風災害への対応は最も重要度の高い課題です。災害時に刻々と変化する情報を集約し、市民の安全確保へ的確な判断を下すため市役所第二庁舎に設置される災害対策本部。各地域の被災情報を本部に伝え市民の避難場所として地域の拠点的な機能を負うのが市内14カ所の「ふれあいセンター」(旧支所)です(※1)。

「ふれあいセンター」は地域の防災拠点として「災害対策支部」に位置づけられていますが、体制が貧弱で、非常勤市職員のセンター長1人、地元運営委員会が雇用する非市職員が1人という人員配置しかないために、災害時には居住地がセンターに近い市職員を支部員に割り振り、その職員がセンターに入って災害対応することになっています。

しかし、支部員とされる職員は通常は他の職場に勤務していることから、地域の情報は乏しく、混乱した災害時にどれだけ的確な対応ができるのか懸念されます。

一方、市内13カ所(※2)、旧同和地区に配置されている「市民会館」には、正規の市職員が2人ずつ配置され常駐しており、「ふれあいセンター」よりはるかに体制が充実しています。「市民会館」は「災害対策支部支援班」に位置づけられ、「ふれあいセンター」をサポートする役回りですが、本来の地域拠点となるべき「ふれあいセンター」の体制が弱いため、補助的に支援する側の「市民会館」のほうが体制が厚いというアンバランスな逆転現象が生じています。

9月1日に高知市が実施した防災訓練では、全職員への緊急メール送信と本部・支部間の地域防災無線による交信が取り組まれましたが、「ふれあいセンター」に常駐職員がいないため、「市民会館」とだけ交信訓練を行いました。市危機管理室によると「支部員となっている職員は普段は他の部署で仕事をしており、日中に『ふれあいセンター』を対象にした大規模な訓練をやると市役所の仕事がとまってしまう」

旧支所である「ふれあいセンター」の配置に比して、「市民会館」は非常に偏在しています。災害対応という観点からも、「ふれあいセンター」と「市民会館」の人員配置のアンバランスをただし、再検討すべき時にきています。

※1 朝倉、鴨田、初月、秦、一宮、布師田、高須、五台山、三里、長浜、浦戸、御畳瀬、大津、介良
※2 朝倉総合、海老川、朝倉、松田、西山、潮江、小石木、小高坂、一宮、介良、長浜、春野秋山、春野弘岡中
(2008年9月7日 高知民報)