2008年8月3日

連載 続・高知市同和行政の今
24 「同和」手付かず 市内部に不満

市民会館の統廃合は市内部でほとんど議論がされていない(長浜市民会館)
現在、高知市の存在する4本柱の「同和行政」(@「市民会館」、A「児童館」、B「仕事保障」、C旧同和住宅の制限公募)のうち、主要な柱であった「仕事保障」が、3年間という条件付きとはいえ、廃止の方向性が打ち出されたことは高知市の同和行政を完全終結させるうえで、画期をなす出来事でした。

随契を敬遠する現場

現実に業務を発注する現場では、「違法」と裁判所に指摘された契約を残すということは、新たな訴訟がおこされた場合に、担当者が求償を求められるリスクを負うことにもなりかねず、段階的に廃止するといっても、一部だけの随契を残存させる理由付けは困難であることから、職員には同和随契を来年度以降も残すことに消極的な空気が存在するのも事実です。

例えば岡崎市長が「見直し」の対象にならないと早々と公言している旧春野町のゴミ収集業務の随意契約についても、市環境部サイドからは「どうして合併がらみだと特別扱いになるのか。この随契だけは別などというのは通用しない」という声も聞かれます。このように岡崎誠也市長の3年間かけて段階的に随契を減らし「軟着陸」させるという目論見が、うまくいくとは限りません。

高知市は現在、保育園の統廃合や福祉施設の民営化、学校給食の民営化などアウトソーシング計画を懸命に推進していますが、同和関係事業だけは全くの「聖域」で、民間委託や統廃合の議論がされた形跡はみえません。

13館ある「市民会館」は極めて偏在しており、かつ近接した館が多いにもかかわらず、統廃合することもなく機械的に2人以上の正職員を配置(規模の大きい館ではさらに非常勤職員等を配置している)し、土・日・祭日が閉館日。旧支所である「ふれいあいセンター」(月・祭日が閉館)は非常勤職員の配置であり、「市民会館」はサービス水準が低いうえに極めて高コストな体質となっています。

高知市は「財政難」を最大の理由に、市民の反対の声を押し切り、学校給食の民営化や追手前小学校の廃校などをおし進めようとしている中であり、市職員には「なぜ同和関連だけは手をつけないのか。これで市民に説明がつくのか」という声もあります。

「市民会館」関連経費は約3億円。うち国費の補助が1億円あるので、2億円が市費持ち出しとなります。また「児童館」の運営費用(指導員の人件費や子ども会運営費)約8000万円は、国の補助制度がないため全額が市費持ち出しとなっています。

「児童館」と「学童」のギャップ

高知市教委が今年度に入り、待機児童が出ることを当然視したこれまでの放課後児童クラブのシステムを根本的に改め、待機児童を本気でゼロにする方針へと思い切って舵を切ったことは高く評価されるべきことです。

ただ、この決着の異様ともいえる早さの背景には、実態的に無料の学童保育として特定地域だけに開設され、保護者負担ゼロ、市費100%負担で指導員を全館に複数配置している「児童館」がクローズアップされて対比されるのを敬遠したという側面も否定できません。(2008年8月3日 高知民報)