2008年7月27日

連載 続・高知市同和行政の今
23 「民報とは話さない」? 竹内千賀子市議

部落解放同盟系列の高知市労働事業協会に「仕事保障」を目的に委託した清掃業務が、特命随意契約により高額化したとして岡崎誠也・高知市長らが損害賠償を求められていた住民訴訟が7月1日に和解。高知市は3年以内に「仕事保障」を目的にした随意契約の全廃を確約しました。

「仕事保障」は、同和団体への団体補助金の延長線上としての性格が色濃く残っており、高知市が期限を区切って全廃を確約したことは「同和行政」の完全終結にむけたエポック・メイキングといえます。連載の前回までは岡崎誠也・高知市長をはじめ高知市側の受けとめを取材してきましたが、今回はもう一方の当事者である団体側の受けとめを取材しました。

何ひとつ説明しない「解同」

7月18日、「高知民報」は竹内千賀子・部落解放同盟高知市連絡協議会議長(高知市議、市民クラブ所属)と市議会内で面談し、同和随契訴訟の和解についてコメントを求めました。しかし竹内市議は「用事はない、高知民報とは話はしない」などという無責任な対応に終始。「(市議という)公的な立場の者としてそんなコメントでいいのか」とただしましたが「構わない」との一点張りでした。

これに先立つ7月4日には、「解同」高知市協に電話で同様のコメントを求めましたが、対応した女性職員は「竹内議長はいつ事務所に出てくるかまったく分からない」という不可解な応対。随意契約により多額の市民の税金が投入され、現職市議がトップをつとめる極めて公的責任の重い立場にあるにもかかわらず、「解同」高知市協は何ひとつ市民に説明しない非常識な対応を繰り返しています。

「解同」以外の団体のコメントは以下。

自由同和会高知県本部の堀川重明会長は「相談しながらやっている。自分は市議を20年もやった人間だ。もうえい、もうえい」と取材拒否。

旧全日自労系列の高知中高年事業団・武田律子代表は「現在の地方自治法施行令では高齢者の雇用対策としての随意契約はシルバー人材センターのみしか認められておらず、法改正を求めていく。これには岡崎市長も理解を示しており、協力して国に働きかけていく」

高知県地域人権運動連合会(旧全解連)系列の高知雇用開発センター・西村導郎理事長は「一般対策への移行は我々が求めてきたことで、法が変って随契が厳格になってきている中で、法に従っていくのは当然だ。岡崎市長の任期中に解消するということなので、それには当然従う。我々も高知中高年事業団と同様の法改正を求めていく」

市民的監視の重要性

訴訟の和解後、高知市は各団体に裁判の和解内容と3年以内に随契を解消していく方針を説明。さらに「すべての特命随意契約を再検討して見直す」ためのプロジェクトチームを立ち上げる準備に入っています。

チームの事務局を担う企画調整課の福島郁夫課長は「第1回目の会議は7月中には開きたい。この際、今回の裁判で指摘された自治法施行令167条2の1の2号だけでなく、3号、4号など全部の随契の資料を準備している」と高知市の随契を全面的に見直すための作業に入っています。

この中で「合法的」に随意契約ができる金額以下に恣意的に分割する発注、事実上特定団体しか入れない指名入札などによって形を変えて引き続き同和団体への便宜をはかる可能性は否定できず、「見直し作業」を市民的に監視していくことが重要になっています。

高知中高年事業団や高知雇用開発センターが言う「シルバー人材センター以外の団体も随意契約の対象に加える」という法改正は、「随意契約可能な対象を限定する流れの中で、拡大する方向は難しい」(厚労省高齢者雇用対策課)というように先行きは不透明ですが、仮に法改正によって随契の範囲が拡大したとしても、これまでの「仕事保障」の延長線ではなく、事前の事業公募や、公正な相見積りなど、市民誰もが納得できるルール化が不可欠。従前のように市長の裁量で、水面下で各団体に事業を割り振るようなことは不可能であり、またあってはなりません。(2008年7月27日 高知民報)