2008年6月29日

連載 続・高知市同和行政の今
20同和随契が市議会のテーマに

同和随契の温存を主張する田鍋剛議員
高知市が同和団体への「仕事保障」の目的で実施している特命随意契約による清掃や警備業務の委託が、6月16日に始まった高知市議会6月定例会の大きなテーマになっています。

執行部は「解同」高知市協系列の高知市労働事業協会に委託している潮江市民図書館の清掃業務が特命随契によって高額化し、市民が損害を受けたとする住民訴訟で、高知地方裁判所から契約の違法性を指摘されたことから、同和随契約を「可及的速やかに廃止」することで和解するを議案を今議会に提案しています。

6月19日、市議会本会議で市民クラブ(民主・社民系)の田鍋剛議員が随契問題について質問しました。

田鍋議員の質問は「特命随契の廃止に異議ありだ。この問題は同和問題の根源を考えなければならない。高知市は地裁の『疑義がある』との指摘で、いとも簡単に政策の大転換をしようとしているが、いかにも腰が引けている、理念や哲学がない。一地裁の指摘での和解の判断は偏った判断。堂々と争うべきだ」などと執行部の和解案を強く批判。同和団体への「仕事保障」の温存を後押しするものでした。

田鍋議員の質問への答弁に立った岡崎市長は、「旧同和地区には雇用、所得、生活保護受給率など、まだまだきびしい状況が続いており、一般施策としての対策が必要」という基本認識を開陳したうえで、「『仕事保障』は同和問題解決の上で重要な課題であり、地域内の生活水準改善にむけて生活の安定、自立支援のために団体への随意契約による就労対策を継続してきた。これが地域の雇用促進と福祉の増進に一定の成果をあげてきた」、「私自身が裁判所に出向き、これまでの高知市の取り組みと旧同和地域の厳しい雇用状況と就労支援の必要性を強く主張したが、裁判所からは法令解釈上疑義あると指摘された」と正当性を懸命にアピールしながらも、「裁判所の指摘に基づき庁内で総合的に勘案した結果、最終的に和解という判断を現在している」と述べました。

古味勉総務部長は「裁判所の指摘は、清掃という契約そのものの性質・目的が、地方自治法施行令167条2の1・2項に規定される競争入札に適さないものと考えることはできないというもので、同和対策やその他の特命随契にも及ぶものと理解している。裁判所の指摘を踏まえ、同和対策を含めて該当する特命随意契約すべてについて見直し、廃止すべきものについては可及的速やかに廃止する方針とした。今後庁内にプロジェクトチームを設置して調査検討していく」と廃止に向けた方向を明らかにしました。

一方で住民訴訟原告・市民オンブズマン高知のメンバーの田所辨蒔氏は議会開会に先立ち、高知市が和解に際して主張している「可及的速やかに」の期限が明確でなく、5年間の温存を意図していると思われることから、「市長の任期をこえた5年などということなら和解は認められない。執行部が6月議会でどう答弁するかによって和解の是非を判断する」とコメント。「全廃までの期日を決め、そこに向けたロードマップを明らかにさせる」よう求める要望書を議長に提出するなど、6月26日の閉会日にむけての議会の審議が注目されます。(2008年6月29日 高知民報)