2008年6月22日

連載 続・高知市同和行政の今
R同和随契訴訟 「5年なら和解せず」

高知市労働事業協会(部落解放同盟系)    1億8659万円
高知雇用開発センター(旧全解連系)  507万円
高知中高年事業団(旧全日自労系)  4488万円
高知県雇用促進事業協会(自由同和会系) 6931万円
※高知市が「同和」を理由にした隋契で発注している委託業務の金額(平成20年度の予算ベース、1万円以下は切り捨て)
「市民オンブズマン高知」のメンバーが、部落解放同盟高知市連絡協議会系列の高知市労働事業協会に高知市が委託している潮江市民図書館の清掃業務委託が、入札によらない随意契約により高額化したことで市民が損害を受けたとして岡崎誠也高知市長らを訴えている住民訴訟で、高知地方裁判所は同和などの「政策判断」による法令に基づかない随意契約への疑義を指摘し、高知市は現状を改めることを条件に和解する準備を進めています。6月16日から始まる高知市議会には、和解の了承を求める議案が提出され、高知市が今日まで続けてきた同和団体への「仕事保障」=同和団体が作った団体への随契による清掃や警備などの業務委託が根本から問われる事態になっています。

高知市の同和対策全般を統括している高知市企画調整課の福島郁夫課長は、「隋契を何年で解消するとは言えないが、裁判所に疑義があるといわれれば対応しなければならない。相手団体の合意が得られるよう努力していく。市長は隋契が可能な団体を拡大するように市長会を通じて国に働きかけているが、見通しは不明。もし随意契約をするにしても、委託事業を事前公開するなど透明度をあげ、市民に説明ができて市民合意が得られるようなものにしていくことは当然だろう」

和解の最大の争点は現状の違法状態の解消の期日。裁判所は違法状態の追認を避けるため、具体的な期日を和解条項に書き込むことには難色を示しているといいます。オンブズマン側の意向は「速やかに」。原告の1人の田所辨蒔氏は「すぐにはなくせない場合もあるかもしれないが、2年までだろう」。一方で高知市は「速やかに」は難色を示し「可及的速やかに」とすることを要望しています。

ある市幹部は匿名を条件に「市長の本音は5年。じわじわと減らしながら、国の解釈や法律が変るのを待つ。それがだめな場合でも他の手法を考えているのだろう」。この幹部が言うように市役所内部には「5年で和解が成立することになっているので、あと5年間はOK」というような理解が広くあり、実際に隋契を発注している現場の課に「5年間かけて整理していくのか」と問うと、否定する課長はほとんどいませんでした。

田所氏は高知民報社の取材に答え「市長の任期を超えた5年などということであれば和解は到底認められない。執行部が6月議会でどういう答弁をするかによって和解の是非を判断することになるだろう」とコメントしました。

自治体が契約する場合には原則入札することが地方自治法で定められ、例外的に法令が定める場合に限り随契が認められていますが、その条件は@契約金額が法令で決められている額以下の小口の時、A入札に適さないもの、B緊急で入札ができない時、C障害者支援施設・シルバー人材センター・母子福祉施設との契約に限定されており、同和などの「政策目的」の随契は認められていません。(2008年6月22日 高知民報)