2008年4月27日

連載 続・高知市同和行政の今
Nショッピングタウンの行方

空き店舗が目立つ「若宮ショッピングタウン」
高知市長浜に「若宮ショッピングタウン」という高知市が設置した共同店舗があります。現在5店が入居していますが、老朽化がすすみ空き家が目立ちます。

もともとこの共同店舗は、同地域の小集落地区改良事業より移転することになった商店への補償的意味合いをこめた施設として高知市が1984年に設置したものですが、時間の経過とともに入居店舗が減少。

平成14年に当時の同和対策推進本部が出した「同和対策関連施策の見直しについて」という文書では共同店舗について以下のような記述があります。「営業状態は芳しくなく、昭和63年に減免措置を講じたものの、使用料の滞納は解決されないまま今日を迎えている。こうした状況を放置することは決して好ましいこととはいえず、滞納の整理をはじめ共同店舗制度そのものの見直し・検討を行う」

さらにその5年後の19年2月に高知市人権施策推進本部が出した「同和対策関連施策の見直しについて」では、「建設から22年を経て老朽化するとともに、売り上げ不振から店舗の撤退が相次ぐなど、施設の継続を含め今後のあり方を検討すべき時期にきている。したがって当面の間継続するが、新たな入居者は募集しないこととする」とされています。

14年段階で使用料滞納が問題になり、「制度そのものの見直し」について言及しながら、6年間たった今でも、見直しは遅々として進まず手付かずのまま。実態的には新しい入居者を受け付けず「自然消滅」を待つだけという状態。 過去の家賃の滞納額は800万円程度にのぼり、処理がされぬまま積み残されています。

この共同店舗も将来的には他用途への転用、売却、払い下げなどの方向で処分することは避けられませんが、国庫補助の入った施設を転用する際のハードルを下げる方向を国がうち出していることは処分をすすめていくための朗報といえます。

市同和・人権啓発課は「貸し手としての責任もあり、共同店舗については非常に悩ましい。改修してほしいという要望も出ているが、我慢してもらっている。今は入居者がいることもあり、建物や土地にどのように国の補助金が入っているか、処分についての精査はまだしていない」

共同店舗の廃止・処分が避けられない一方で、周辺の地域には商店が少なく、車を持たない高齢者が生活しにくい実態もあります。共同店舗の後始末をどうつけるのかは、高知市の同和行政が抱える課題のひとつです。(2008年4月27日 高知民報)