2007年1月14日

連載 高知市同和行政の今
F児童館(1)

  河ノ瀬児童館

高知市の「同和行政」で「市民会館」とともに大きな柱になっているのが「児童館」です。「児童館」と名のつく施設は他自治体にも多くあり、広く児童生徒が利用する施設として運営されているのが通常ですが、高知市では「児童館」=「同和行政」で他自治体とは様子がかなり違います。

高知市の「児童館」は、基本的に旧同和地区内の「市民会館」とセットになり、児童館条例で定められた9館と「教育集会所」を使った2館の合計11館が運営されています。館には専任の指導員を配置。館の規模によって1人から4人体制で、市全体では17人。身分は非常勤の市職員です。

試験対策まで

「児童館」は旧同和地区内だけで少数の児童を対象にした活動をしているため、市民の多くは実態を知りません。「児童館」を利用できるのは小中高生とされていますが、最も多く利用しているのは小学校低学年。毎日の下校時に館に寄り、親が帰宅するまで放課後の時間を過ごす学童保育的な利用がされています。

利用者は「子ども会」(※)に登録することになっており、館内には児童の名前を書いた上履きやロッカーが置かれています。ロッカーには名前を書いた学習ドリルや答え合わせをしたテストプリントが入っており、不特定多数の児童ではなく、日常的に固定した児童に、学習指導が行われている様子が伺えます。

建物はどの児童館も古くなってきたとはいえ、学習室の他に図書室、バトミントンやバスケットボールができる屋内運動スペース、運動場などが備えられており(児童館として国が定めた基準がある)、狭いプレハブの建物に60人がすし詰め状態の一般の「放課後児童クラブ」とは比べものにならない余裕があり充実しています。

ある「児童館」の指導員は「子どもが学校から帰ってきたら、まず宿題や簡単なプリントをやらせる。勉強する習慣をつけるのが大切だから。児童クラブとは違って、子どもは来てもこなくてもよいが、低学年は毎日来ている」と利用の実態について話しました。

中学生になると生徒は「児童館」にほとんど出入りしなくなりますが、例外は中間期末テスト前の試験勉強。通学している市立中学の教員が夜間、児童館に出向いての試験対策勉強会には親の意向もあり、一定数の中学生が参加しています。教員による試験対策の加力学習が特定の地域だけで実施されている実態を多くの保護者が知れば、どのような思いを持つでしょうか。

※部落解放子ども会と呼ばれ、「解放運動の戦士」を育成する目的で特異な指導が行われていた。子供会連合会には加入しておらず一般の「子供会」とは全く異なる活動内容で、活動費用は税金でまかなわれている。現在は「解放」理論に基づく指導は薄れてきているが、「児童館」内には随所に解放子ども会の掲示物が貼られている。