2006年12月3日

連載 高知市同和行政の今
D市民会館(2)

館だよりには町内会と混同した記述が目立つ
「市民会館」ではどのような活動が行われ、どのように住民に利用されているのでしょうか。

ある市民会館の17年度の活動内容を見ると、相談活動(生活・住宅相談)、貸館、成人学級(民謡・詩吟)、人権学習会、地域まつり、交流バス旅行、デイサービス(内容は後述)、広報などに取り組んだとあります。

限定された対象地域

「市民会館」の活動は、対象地域や対象となる人を特定したものではなく、すべての市民に開かれているということに建前上はなっていますが、今日も旧同和地区の住民だけを対象にした活動になっているのが実態で、大半の「市民会館」職員も、利用している住民も、同和対策として活動してきた時代との意識の違いは感じられません。

そもそも「市民会館」は旧同和地区にしか存在しないことから、その活動が旧地区を対象にしたものになるのは、当然ですが、それ以上に「市民会館」が展開しているサービスを市民一般に公開しようとしない、「囲い込み」ともいえるような閉鎖性が今でも色濃く見られます。

無料貸館

前述した事業を住民が利用するのは基本的にすべて無料で、経費は市予算でまかなわれています。「市民会館」施設を住民に貸し出す貸館業務も例外ではなく無料ですが、同じ市施設である旧支所の「ふれあいセンター」や公民館などを市民が使うには、使用料を当然ですが支払わなくてはなりません。市民がサークル活動など様々な活動をする際に、使用料が安く駐車場の心配ない会場を探すのに非常に苦労しているにもかかわらず、旧同和地区では無料で使える施設が、いくつもあるという非常にアンバランスな状態になってます。

また民謡や詩吟教室、パソコン教室などの「成人学級」も参加費は無料。高齢者の健康づくりのためと称する芸能大会や、折り紙、マッサージなどを内容とする「デイサービス」(要介護者が施設に通所して入浴・食事の提供等をする通常のデイサービスとはまったくの別物)は昼食付きで200円。これらも不足する経費は税金でまかなわれています(デイサービス事業の年間予算は約2400万円)。

広報を限定

問題は「市民会館」がこのような無料サービスを提供していることが、旧地区外の住民にほとんど知らされていないことです。高知市広報で全戸に配布される「あかるいまち」には「人権シリーズ」という啓発記事は載っても、「市民会館」の利用案内が載ることはありません。

「市民会館」の行事案内は、館が公費で発行し配布している「館だより」で行っています。「館だより」には、催し物の他にも、旧同和住宅の入居募集案内(あかるいまちには一般向け住宅しか出ない、この問題は別途後日取り上げる予定)、ゴミ当番のお知らせなど町内会広報のような記述も目立ちます。

館が広報を配布する範囲は、どの館も判で押したように旧地区に限定(一部の館は外部にも配っている。また混住が著しい地区では、旧線引きの中のさらに一部だけ配布している)。

「市民会館」の活動がすべての市民を対象にしているというならば、なぜ広く市民一般に広報しないのでしょうか。多くの市民は情報が公平に与えられず、サービスを選択する自由が奪われています。「市民会館」の実態ははあたかも市営「町内会」施設のようなもので、職員はその事務局員、財源は市費というのが偽らざるところです。