2006年11月12日

連載 高知市同和行政の今
B29の残存事業

高知市が現在、一般対策の中で取り組んでいる「同和行政」は29事業(別項)に及びます。一般対策とは、旧同和地区の線引きとは関係なく市民すべてを対象にした事業であり、「同和行政」とは対象を限定した特別対策です。

両者は矛盾する概念ですが、すべての市民を対象にした「同和行政」というのは、現場ではどういうものとして展開されているのでしょうか。その詳細は連載で明らかにしていくことになりますが、市職員でも同和対策に関わっていなければ全容はつかめておらず、まして市民には非常に分かりにくいものになっています。

14年2月、同和対策の根拠になる法律の期限が切れるにあたり、市同和対策本部は「同和対策関連施策の見直しについて」という文書を出しています。

現在残存している「同和行政」は、基本的にこの文書に書かれているものになります。この時の見直しでは、同和対策審議会の廃止、個人給付事業の全廃などが打ち出される一方で、「同和」を「人権」へと名前を変えた人権教育基本方針、市人権教育研究協議会への補助金、各種啓発事業や、実質的に同和加配の延長と大差のない家庭支援推進保育などを一部手直しして存続させています。

また旧同和地区内にある市営納骨堂(2カ所)の管理、農林漁業共同利用施設(9カ所、JA高知市などに無料で委託)、大型作業所(3カ所)、共同店舗(現在3店舗が入居)など、市民には知られていない就労対策のための残存事業も継続されることになりましたが、同和対策として主要なものは以下のものです。

@市役所組織としての同和対策課、人権啓発課、人権教育課の存続
A随意契約による仕事保障
B市民会館の運営
C児童館とこども会の運営
D同和向け市営住宅入居での「一定」の配慮

10月30日、朝倉総合市民会館で開かれた部落解放同盟高知市協の対市交渉の要望書には、「同和対策課の名称を残すこと」を要望しています。市側の回答は「『同和対策』という名称を存続させながら、効率的な組織体制を検討」というもので、同和対策課と人権啓発課との統合を示唆しながらも、この期に及んでまだ「同和対策」という名称を冠するというのですから、高知市の時代錯誤的感覚にはあきれるとしかいいようがありません。次週は市内11カ所の市民会館についてレポートする予定です。
29の残存事業
人権施策推進本部 人権研修推進員 同和対策課 人権啓発課 人権教育課
専門課の職員数 児童館指導員、児童厚生員 市民会館運営審議会委員 清掃・警備・剪定等委託事業 隣保館(市民会館)事業
児童館・集会所の運営 夜間・休日管理委託業務(市民会館) 大型作業所 長浜共同店舗 県隣保館連絡協議会負担金
県市町村じんけん行政連絡協議会負担金(事務局高知市) 人権教育研究協議会補助金 人権教育研究集会等補助金 地域教育活動総合支援事業 社会人権教育推進事業(社会同和人権教育推進事業)
人権研修 人権・同和問題啓発事業 広報あかるいまち「じんけんシリーズ」 同和向け住宅等の入居資格 福祉施策関連事業
家庭支援推進事業(保育士加配) 高知市納骨堂条例 農林漁業共同利用施設 人権教育基本方針