2007年7月1日

連載 高知市同和行政の今
28 仕事保障(1)

同和団体への随契を報じる高知新聞(2007年2月16日)

2007年2月16日付の「高知新聞」に「高知市が同和行政見直し」「随契やめたら生活保護増?」「公平性疑問視する声も」という記事が掲載されました。

14年3月に同和対策の根拠法が失効して以降、高知市では@「市民会館」、A「児童館」、B旧同和向け市営住宅入居募集時の特別配慮、C同和関係団体への入札によらない随意契約による「仕事保障」を大きな柱に「同和行政」が温存されてきましたが、これらの事業が5年間を経過したことで事業見直しの時期を迎えたことに関連して、随契による「仕事保障」のあり方について問題提起した内容でした。

同記事は「解同」をはじめとする同和団体の運営する法人が、高知市の発注する清掃や警備などの業務を、入札に寄らない特命随意契約で平成17年に合計約3億8000万円受注していることを示したうえで、単価が高止まりになること、「随契が地区住民の自立につながるのか」という市職員のコメントなどを掲載。

「民間がギリギリの経営努力を続ける一方で同和対策の随契が温存されることに市民の理解が得られるのか」とまとめるなど、両論併記的ではありながらも、全体的には部落差別を理由とする随意契約の継続に批判的ともとれるトーンを打ち出していました。

過去の「高知新聞」の同和問題の論調は、明らかに部落解放同盟寄りで、「解同」に都合の悪いことは書かない「『解同』タブー」が厳然と存在していました。今回の記事は、市民にとってはまったく「藪の中」だった同和団体への随意契約の実態の一部を明らかにしたものであり、京都市・奈良市・大阪市などで大問題になった「解同」スキャンダルによって商業マスコミ内での「『解同』タブー」の呪縛が弱まってきている中、遅きに失したとはいえ、積極面を内包する注目すべきものであるといえます。(7月1日 高知民報)