2007年6月17日

連載 高知市同和行政の今
27 老人福祉センター

高知市長浜の老人福祉センター。「市民会館」に隣接している

全国的に同和対策へ莫大な予算が投入されはじめた70年代以降、高知市は連年のように台風による被害におそわれたこともあり、高知市のハード的な整備事業は防災対策と同和対策に集中してきました。

市役所内の組織としては70年から92年までの22年間、同和対策部を設置(同和対策課、第一〜三地区改良課)。同和地区の住環境整備に集中的に予算と人員を投入して取り組んできました。

同時に同和行政だけではなく、一般行政として位置づけられるべき福祉施設についても同和地区に優先的に配置されてきました。

その典型が、これまで連載で紹

老人福祉センターA型
旭老人福祉センター(木村会館に併設)

老人福祉センターB型
海老川、松田、一宮、朝倉、介良、小石木、
一宮中央、南横、中央、小高坂、長浜

老人憩いの家
西山、河ノ瀬、長浜南部、鏡

介してきた、公営保育所や「児童館」、そして老人福祉センター・老人憩いの家です。

老人福祉センターとは、高知市の元気いきがい課が所管し、地域の高齢者に無料で開放されている施設ですが、旭地区の木村会館内に設置されている旭老人福祉センター、旧一宮支所と併設されている一宮中央、大善町の中央、旧鏡村の鏡の4施設をのぞく12施設は基本的にすべて旧同和地区内に存在しており(別図参照)、「市民会館」や児童館と複合化させたり、同一敷地内に建てるなど同和関連施設として一体化して整備されています。センターには専従の職員が配置されていないことから、社会福祉法人や「市民会館」の市職員が管理しています。

長浜地区では老人憩いの家と老人福祉センターが同一敷地内に隣接して建っており、両施設は渡り廊下で連結され、一体的に使用できるようになっています。 このセンターでは、教養やカラオケ教室などの講座の会場として、また高知市が民間に委託して実施している「なごやか宅老」の場所として使われています。

「なごやか宅老」とは自分で通所が可能な高齢者が、集い交流する場を提供するサービスで、老人福祉センターなど公的施設を使い実施(施設利用料は無料)されているものが9、民家を借り上げて実施(家賃や光熱費の補助は出ている)しているタイプが11となっており、うち公的型は旧同和地区内だけ。民家借り上げ型はすべて地区外とはっきり分かれています。

高齢者への対策は旧同和地区内外にかかわりなく高知市にとっては重要な施策のはずですが、過去数10年間続いてきた同和偏重の行政の流れの中で、高齢者福祉の分野でも、旧同和地区内には手厚く、地区外は手薄という行政サービスの「格差」は歴然として存在しています。
(6月17日 高知民報)