2007年5月27日

連載 高知市同和行政の今
24 促進学級(3)

   朝倉3町子ども会の「促進学級」会場として使われている朝倉総合市民会館内の「児童館」

旧同和地区の「児童館」に定期テスト直前に教員が出向いて試験対策の勉強会を開催していることを知った保護者からは「逆差別ではないのか」という強い批判の声が例外なく出ますが、当然の感覚でしょう。

現在の中学校では、テスト対策の勉強会は「こども会」の事業であり、学校は関知していないというのが建前。日程の連絡なども「児童館」から届けられた氏名を書いた封書を生徒個人に渡すという方法で通知され、地区外の他の生徒や保護者には分からない形になっている場合がほとんどです。

しかし、学校が関知しない「私的ボランティア」で、教員が特定地域の生徒にだけ出向いてテスト対策を特別に実施するなどということが、教育のあり方として許されるのでしょうか。

市教委人権教育課は「テストの問題を教えているわけではない。直接的なテスト勉強というより、学力保障のために集まる時期が、これまでの経過もあり、たまたまこの時期になっているのではないか」と回答しました。

一方で「促進学級」の日程を全校に配布しているのが西部中学校。同中ではテスト学習の日程をプリントにして全生徒に配布しています。

しかし、このやり方にも問題があります。とりわけ学校が結果的に「線引き」をいつまでも固定化して特定の地域を特別視することにより、保護者や生徒の意識に「厚遇される特別な地域」としてインプットされ、問題の真の解決へのブレーキとして作用している側面があります。
 
公平な対応が教育の原点

学力に課題がある生徒を対象にして底上げするのは、学校に課せられた使命であり、特定の一部地域だけでやってすむ問題ではありません。

どの地域であれ公平に勉強会を実施する、それができないのであれば生徒が通っている学校を拠点に、たとえば現在市内の10校が実施している放課後学習チューター制度(市単独事業)などに、「促進学級」に投入されているマンパワーと市費を投入して統合発展させていくなどの方向性を示す必要があります。

また8月6日の夏休みの登校日には「ワッペン登校」、校内放送で「子ども会」がメッセージ読み上げるなど、「狭山ゼッケン登校」や、「部落民宣言」(立場宣言)のなごりのようなことも、現在の公立中学校では未だに行われており、このような時代錯誤な「因習」的行事も早急に改める必要があります。

平成18年度までは「児童館」と「子ども会」を所管するのは市民生活部同和対策課でしたが、19年度から市教委人権教育課に移管しました。「児童館」と「子ども会」のあり方について同人権教育課は「まだ実態の把握をしているところなので、19年度は今の枠組みを変えることにはならないが、来年度にむけて時代の流れの中で改善すべき点があれば考えていく」と述べています。保護者に同和教育や促進学級の実態を知らせ、議論を広げていくことが大切になっています。