2007年5月20日

連載 高知市同和行政の今
23 促進学級(2)

    「私的ボランティア」のため個人名などは公開されなかった

基本的に旧同和地区にだけにしかない「児童館」で行われる「促進学級」の運営には教員の参加が不可欠。毎学期の中間・期末テストごとに旧同和地区を抱える7中学校から30人、年間を通してのべ150人もの教員が「動員」されています。

前号で紹介したように「促進学級」は、教員が夜間「児童館」に出向いて行われています。学校の勤務時間との関係、時間外手当などの実態はどうなっているのでしょうか。

そこで「促進学級」の実態を調べるため、派遣された教員についての記述のある公文書(平成17年度分)の開示請求を高知民報が行いました。結果は一部公開。文書からは次のようなことが分かりました。
 
有償ボランティア?

「動員」された教員には、「謝礼」として1時間あたり1500円が「地域教育活動総合支援事業」(市単独事業)という市教委の予算から支払われていました。公開された支払い関係書類では謝礼を受け取った教員の氏名は黒塗り。公務員が業務にかかわった場合の個人名は開示されなければならないはずではないかと市教委人権教育課に質問すると「勤務時間外の自主的な有償ボランティア。私的な行為であり派遣に市教委は関知していない」という回答が返ってきました。「ボランティア」なので業務ではないというのが非開示の理由です。
 公立中の教員が、日々の学校で教えている生徒にテスト対策の指導をして、かつ謝礼が税金から支払われているにもかかわらず、私的「ボランティア」というのは市民には非常に分かりにくい説明です。

実際に教員が派遣されるまでの流れを見てみます。平成18年度まで「児童館」は同和対策課に所管されていたため、「児童館」→「市民会館」から年度初めに7中学校の学校長に教員派遣の要請が届きます。

教員派遣が求められるのは「促進学級」だけではなく、子ども会の各種イベントや「人権学習」、年度初めの発会式など多岐にわたります。その多くは各校の「人権主任」が請け負うことになりますが、テスト対策の「促進学級」や、全教員が参加する場合もある「発会式」などは多数の教員を「動員」しなければなりません。

実際には各学年団に割り当てが下ろされ、学年団ごとに職員会議で話し合って当番を決めており、まったく通常の学校業務の延長でしかありません。市教委が言う「ボランティア」とういうのは虚構です。現場の教員にも「ボランティア」であるという意識は皆無で、40代の中堅教員に「ボランティアだから派遣を断ってもよいのか」と聞くと「ボランティア?これは仕事。学年団で当番を決めて取り組んでおり断る教員はいない」という答えが返ってきました。これが実態です。

高知市の公立学校では、こと同和問題になると情報がほとんど保護者に開示されないために今日的な批判がほとんど行われず、いまだに時代錯誤的なものが脈々と受け継がれているのです。