2007年4月1日

連載 高知市同和行政の今
P「属人調査」で格差偽装(2)

高知市は同和対策事業で作られた過大な施設の維持に四苦八苦している(同市長浜のシラス共同作業場)
高知市が18年度に「地域」と高知市全体の格差を比べるという名目で行った調査の問題点をこれまで見てきましたが、さらに「調査」のでたらめさを分析します。

高知市によると、調査の結果「地域」の収入は高知市全体の79・7%であるなどとして「地域間格差」は依然として解消しておらず、@市民会館、A児童館とこども会、B同和向け市営住宅での配慮、C特命随意契約による仕事保障という同和行政を継続するとしています。

「地域」?

 しかし今回高知市が行った調査では、「地域間格差」を明らかにすることはできません。高知市が調べたとする「地域」とは何か。旧同和地区の線引き内のことかと思えば、そうではありません。旧同和地区内(※)に住んでいる市民のうち「市民会館」が同和関係者と把握している住民、すなわち「属地属人」名簿に記載された人為的集団のことを「地域」と呼んでいるのです。

「地域」とは英語でエリア、「土地の区域」という意味です。地域の実態を調べるのであれば、線引き内の住民すべてを対象にするか、無作為抽出した調査でなければなりませんが、「地域」と言いながら、実際に対象にするのは、特定の住民だけなのです。

高知市が平成9年に発行した「同和行政の概要」は、当時の同和地区の線引き内人口のうち、同和関係者である「属人」が占める「属人率」を算出していますが、当時の同和地区の平均が34・1%。「属人」の総数は8444人とされていました。「属人」は地区内住民の3人のうち1人だけでした。

さらにバイパス開通など開発がすすみ環境が様激変している地区では、「属人」比率が10%台まで減少。線引き内の圧倒的多数が同和関係者ではないなど、すでに「部落」の実態は消滅しています。

この数字からさらに9年間が経過した今回の調査では、「市民会館」が把握している「属人」総数は7048人に減少しています。さらに「属人率」が低下していることは確実です。地域のごく少数でしかない「属人」だけを、抽出していくら調べたところで地域の実態が分かるはずもなく、「地域間格差」を調べることなどできるはずがありません。