2007年3月11日

連載 高知市同和行政の今
M“部落民”調査

高知市が実施していた旧同和関係者の低位性調査の結果がこのほど明らかになりました。高知市に対し高知民報が請求していた公文書開示請求により開示されたもの。

請求内容は「同和地区内外の住民の格差に関連する調査にかかわる一切の資料」。市長部局とともに市教委にも請求を行いました。

市教委人権教育課からは「地区に線引きした調査は実施していない」という理由で文書不存在との回答。一方、市長部局の同和対策課からは、別項のような資料が出てきました。

「平成18年度 地域の経済状況」とタイトルがついた文書には、18年7月データとの記述。相当以前から調査の準備がされていたことが分かります。

分析項目として@人口、A高齢化率、B総所得、C生活保護受給率、D年金受給状況。データの「高知市」は全市民の平均値、「地域」とは旧同和関係者のことを指しています。

市同和対策課に、資料に書かれている同和関係者7048人はどうやって抽出したのかと聞きましたが、「3月議会まで待ってほしい」と明確な回答が得られていません。やりとりの中では、旧同和地区内の住民すべてではなく、「市民会館」が旧地区内から「属人」をピックアップした数字であることが分かっています。「市民会館」が、市民を同和関係者と特定する根拠もない中で、今もって「部落民」として把握し、認定していることは大問題です。

「市民会館」は、旧法時代に誰が同和施策の対象者であるかを判定する仕事をしていたことから、職員は誰が関係者であるのかを熟知しています。2006年10月26日、「混住率」がきわめて高い地区の「市民会館」を訪れた日本共産党市議に対して、館が配布した資料に「世帯数●●●世帯(対象●●世帯)。人口●●●人(●●人)」(実際には数字が記載)と書かれていたことがありました。「この数字は何か」との問いかけに、館はあわてて回収。カッコ内の数字は館が把握している同和関係者であることは明白で、法失効から5年経過しても「市民会館」が旧法時代とまったく同じ感覚であることをよく表しています。

「7048人」はこのような「市民会館」の把握数の積み上げですが、「市民会館」が数だけでなく、個人名でピックアップしなければ、年齢構成、総所得、生活保護受給率、年金支給状況というような詳細なデータを算出することはできないはず。市が勝手に市民を「部落民」として認定し、行政の持つデータを操作して、その低位性を強調するという人権侵害に等しい行為が行われたことになります。次回はデータから読みとれる「格差」について考えます。