連載 高知市同和行政の今
L地域改善向け住宅(3)
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住民に通称「ニコイチ」と呼ばれている改良住宅(2戸がつながっているという意味) |
地域改善向け住宅の同和行政終結にむけた動きは、まったく手つかずというわけではなく、平成14年度以降、同和対策の特別措置法が失効したことを受けて、一定の手直しがされてきました。
@入居資格から「同和地区に1年以上居住する者」を削除(14年から)。
A防犯灯や合併浄化槽など電気料金や水道料金の負担。16年度までは公費で全額負担していたが、17年度から受益者負担に。
B退去時の畳や襖の張り替えなどの修繕の義務づけ。(14年度から新入居者、既入居者は19年度から)
C家賃減免の段階的廃止。「同和向け公営住宅」については19年度に減免を完全廃止。改良住宅については平成24年に100%になるように負担を徐々に引き上げている。
どれも当然のことではありますが、 このような努力がなされてきている中、市幹部が昨年10月、「解同」高知市協の言いなりになり出してきた入居募集方法での「逆流」は重大な問題でした。
今年2月、高知市は地域改善向け市営住宅についての今後3年間の運営方針を明らかにしましたが、その内容「依然として「地域の厳しい実情に配慮し、当面の間、一定の措置を講ずる」というもの。「当面の間、一定の措置」という、いつまでなのか、何をするのか、まったくあいまいな表現ですが、実際には、これまでと同様、@入居募集情報は旧同和地区内だけしかない「市民会館」を通じてしか広報しない(一般住宅は「あかるいまちで全市民に広報)、A昨年10月から導入された「市民会館」の意見を付した選考方式を継続させることになります(一般住宅は抽選)。
このような恣意的な募集方法により、地区外の一般市営住宅では競争率が20倍にも達し、住宅に本当に困窮している人が応募しても応募しても入居できないケースがある一方、地域改善向け住宅では競争率は高くても2倍。真に住宅に困窮しているわけではなく、より利便性の高い住宅への移転としての応募も目立ち、4階にある住宅などは募集しても応募がないケースもあるといいます。
入居募集情報を旧地区内住民にしか知らせないことは、法失効後も市行政が人為的に同和地区の線引きを固定化していることになります。旧地区内のみを囲い込んで特別扱いし、保護する行政が、地域住民の自立につながるとは考えられませんし、市民の納得を得られるものでもありません。
一般の市営住宅と同じ募集方式に改めることにより、地区外からの人口流入が増え、地区の垣根はさらに低くなり「同和地区」の消滅が加速度的にすすむことが考えられます。「同和問題解消が責務」と言う市行政が、地区を囲いこんで厚遇する住宅行政は、真の問題解決に逆行するものです。 |