2007年2月18日

連載 高知市同和行政の今
K地域改善向け住宅(2)

 同和向け住宅の入居選考には「市民会館」の意見を付されることになった
2006年7月。地域改善向け市営住宅への入居をめぐり、部落解放同盟高知市協と市住宅課の間でトラブルが発生します。

「解同」市協が競売で家を失った市民を、正規の募集を待たず公募によらないで入居させることを住宅課へ要求しましたが、住宅課は当初「公募によらない入居は条例・法律で厳格に規定されているため、特別扱いはできない」と抵抗。ところが「解同」市協と交渉した山下司・市助役が入居を認めると回答して現場を飛び越えて特例的に入居を認めてしまいました。

さらに「解同」市協は15年度から抽選で行ってきた入居時の決定方式を、選考に変えるよう要求。住宅課は抽選だと本当に住宅に困窮している人が入居できない場合もあるとして、選考方式への変更を次年度19年度から実施する方針を固めていました。

しかし「解同」市協は、「18年度途中の第2回募集(18年10月18、19日)時から選考を実施するのは山下助役も認めていた。背信行為だ」と激怒。市は「解同」の圧力に押され10月の第2回募集を選考方式に急遽変更しました。

変更があまりにも急だったために応募用紙の印刷も間に合わず、書かれたままになっていた抽選会場の案内図がボールペンで消されるなど、あわてふためき選考方式に変えさせられた様子が手に取るように分かります。入居決定方式を変更するために踏まなければならない手続きである住宅審議会が開かれたのは、すでに募集が終わった後の11月2日でした。

今回の地域改善向け住宅の入居決定の変更については、大きな問題点がいくつも含まれています。
@選考がよい方法であるなら、なぜ同和向け住宅だけなのか。一般市営住宅は抽選のまま。
A運動団体の圧力に屈服して年度途中で無理矢理計画を変えさせられている。
B選考方法に、これまでなかった逆流現象が、どさくさに紛れて入り込んでいる。最終的に入居者を決定する機関である選考委員会は、14年以前には、市議3人、県住宅課長、民生委員らに市幹部を加えたメンバーで構成されており一定の客観性があったが、今の選考委員会は、都市整備部長と市民生活副部長や福祉事務所長など市幹部だけで委員を構成し、内部だけで決めることができるようになっている。これに14年以前にはなかった「市民会館」の意見を付すという項目まで加えられた。