2007年2月4日

連載 高知市同和行政の今
I児童館(4)

 「解放子ども会の歌]の歌詞の掲示。豊田教育集会所(2006年10月)

「解同」には「児童館」は部落解放運動で勝ち取った成果であるという既得権意識が強烈にあり、「児童館」では運動団体と公的施設の境目が曖昧にされた非常におかしな状況が今でも随所に見られます。

最近の「児童館」や「子ども会」活動の中では、「解放理論」色はかなり薄まってきている館もありますが、館に入ればすぐに眼に飛び込んでくるのが、「部落解放」などと書かれた掲示物や「解放歌」の歌詞。

「児童館」は「解同」の私有物ではなく、児童福祉法に基づく市の公的な建物であり、「解同」の特異な理論に基づいた掲示は許されないはずです。

市の同和行政担当者にこの現状をただすと、「確かに掲示物には不適切なものもあると思うが、地域の人たちの要望が強く撤去するのは難しい」と困惑した様子で話しました。ここにも「解同」の既得権意識とこれに従属的な市行政の関係がよく現れています。

児童館指導員は市の非常勤職員として公務に従事しているはずですが、「高知民報」の取材に対し、ある館では児童が誰もいない時間帯に「館内を少し見せてもらいたい」という市民会館長の許可を得ての取材要請に対してでさえ、「急にこられても困る」などと敵意を剥き出しに食ってかかり拒否するベテラン指導員など、公務員としての自覚に欠ける職員にも出会いました。

一方で若い世代の指導員には、一定のバランス感覚もあり、取材にも常識的に対応してもらえるケースが大半。「解放理論」についても、「普段子どもを指導する中では『部落解放』という言葉を意識することはあまりないですね」と話す指導員も。またある館の指導員に「児童館の活動に地区外の保護者が不公平感を持つとは思わないか」と質問したところ、「自分たちはこれが当たり前と思っていたが、確かに言われればそうかもしれない」など既得権意識だけではない一定の意識の変化も見ることができます。

「児童館」関連予算は18年度で7900万円。基本的にすべて市の持ち出しになっており、現状のままでの継続は難しい状況になっています。本来であれば、「児童館」を一般の放課後児童クラブと揃える形での統廃合など、ソフトランディングにむけた将来像を示すのが市行政の責任のはずですが、実際には何の展望もないまま漫然と継続するだけになっています(19年度から市教委に管轄が移ることが内定)。