2022年10月16日

日韓トンネル推進講演13回 溝畑宏・高知県関西戦略アドバイザー 浜田知事は黙認

 
「ハマちゃん」と浜田省司県知事との特別な関係を強調する溝畑宏・大阪観光局理事長(右側、10月7日、高知市)
浜田省司・高知県知事が最も力を入れる「関西戦略」=万博・IRに向けて高まる関西圏の経済活力を高知県経済に取り込む—という施策のカギ握る人物として、「関西・高知経済連携強化アドバイザー会議」委員を務める溝畑宏・大阪観光局(※)理事長が、旧統一協会・文鮮明教祖が提唱した「日韓トンネル」の推進に深く関わっていたことが波紋を広げています。浜田知事は溝畑氏と「日韓トンネル」の関係を「適切であったかどうか、申し上げるべき立場にない」と黙認。浜田知事が強調しているはずの「旧統一協会との関係は県民の誤解を招かないよう慎重に対応する」という言葉が揺いでいます。

溝畑氏が統一協会のフロント団体である「国際ハイウェイ財団」と一体になり、「日韓トンネル」を推し進める活動を全国各地で取り組んでいた実態を『週刊現代』(2022年8月15日)が報じました。記事によると溝畑氏は2016年から19年にかけ16回に渡って「日韓トンネル」建設をかかげた「県民会議」などで講演し、1回約5万円の謝礼を受け取っていたとされていました。

高知民報による溝畑氏本人、大阪観光局への取材、国際ハイウェイ財団資料を調べる中で確認できた講演回数は以下の13回でした。

2016年 6月4日福岡、10月29日大阪(徳野英治・統一協会会長も登壇)、11月13日長崎、11月23日佐賀、11月25日東京(全国役員連絡会議)

2017年 1月9日岡山(梶栗正義氏が登壇。梶栗氏は現国際勝共連合会長、世界平和連合会長、UPFジャパン議長、平和大使協議会会長、国際ハイウェイ財団会長)、2月26日熊本、4月23日愛媛、5月14日奈良、5月21日鳥取、7月11日ソウル、10月29日札幌。

2019年 12月9日東京。 

本当に知らなかった

溝畑氏は取材に対し「講演は10数回。日韓交流、とりわけ日韓観光交流の必要性についての講演依頼であったことから、旧統一教会の友好団体という認識はなかった」と回答。

10月7日、土佐経済同友会主催のイベントで浜田知事と対談するために、溝畑氏が高知市を訪問しました。軽妙な関西弁のトークで万博・IR、インバウンド観光で訪れ得る外国人観光客や富裕層を高知県の自然を武器にして呼び込むことの重要性を説き、浜田省司県知事との深い関係を強調していました。

対談終了後、会場で溝畑氏に統一協会の事業の片棒を担いだことの結果責任を問いましたが、「本当に知らなかっただけ。まだ事実関係がわからない」というコメント。元観光庁長官、大阪観光局理事長の肩書を使って統一協会の宣伝に乗り、荒唐無稽な「日韓トンネル」の広告塔を務めたことに対する反省の弁を溝畑氏の口から聞くことはできませんでした。

※大阪観光局 大阪府と大阪市の観光振興のために松井一郎・大阪府知事、橋下徹・大阪市長の下、2013年に設置された。現在は大阪府・大阪市・堺市が出資。15年から総務省出身の元観光庁長官、溝畑宏氏が理事長・局長に就任。溝畑氏はカジノ統合型リゾート(IR)にも積極的に関わっており、大阪府・大阪市IR推進会議座長を務めるなど維新の重要ブレーンの一人。(高知民報 2022年10月16日号)