2022年9月29日

  海自潜水艦事故 衝突原因は思い込みだった 中四防衛局長が高知県知事に陳謝             

 
高知沖で衝突事故を起こ高知新港に係留された海自潜水艦そうりゅう
(2021年2月10日)
海上自衛隊潜水艦「そうりゅう」が2021年2月8日、足摺沖約50キロメートルの海上で民間貨物船「オーシャン・アルテミス」(以下OA)と衝突した事故について防衛省が「事故調査報告」を公表(9月20日)したことを受け9月21日、防衛省関係者が浜田省司高知県知事を訪問。事故原因や再発防止策など報告書の内容を説明し、事故を起こしたことを陳謝しました。

この日、高知県庁を訪れたのは今給黎学・中国四国防衛局長、山口宜久・海上自衛隊呉地方総監部幕僚長(海将補)ら。

冒頭、今給黎氏が「高知県の漁船が操業する場所で事故を起こし、心配をかけたことをお詫びします」と陳謝。報告書の具体的内容について山口氏が浜田知事に説明しました。

山口氏が述べた事故原因の主な内容は以下のようなもの。①「そうりゅう」がソーナー(水中音波探知機)でOAの音波を探知していたものの、船舶として認識せず、それ以上の確認作業をしなかった、②浮上前にOAのスクリュー音を確認したものの、同方向にある遠方のコンテナ船の音と誤認し、OAの存在に気付かないまま浮上し衝突した。

再発防止策としては、確認作業の明確化や対象物との距離が分かるアクティブソーナー等、装備の追加の検討が上げられました。
 
 浜田省司県知事に事故原因を報告する中四国防衛局長ら
浜田知事は「事故現場海域はキンメダイやカツオの漁場と近いこともあり、漁業関係者から不安の声が上がった。看過できない重大事故。大変遺憾だ。再発防止策が十分かどうかは、なお運輸安全委員会の結論を受けて県として判断する。潜水艦の訓練そのものが必要ないとは言わないが、漁船や民間船舶の安全確保が大前提。二度とこのような事故がないように万全を期してほしい」と発言しました。



浜田知事との面談後、取材に応じた山口・呉地方総監部幕僚長のコメント

―アクティブ・ソーナー装備を再発防止策として考えているのか。
山口 それを含めて検討中。

―高知県の漁船の多い海域での潜水艦の訓練を、これまでと同じように続けるのか。 
山口 どの海域でどのような訓練をするかは答えられない。今後も必要な訓練は必要な海域でやる。

―音波は探知していたが船とは思わなかったということだが、それなら何と思ったのか。
山口 危険な目標として認識しなかった。これは何だろうと考えるのではなく、船ではないと思いこんでしまったのが事故の一番の原因だ。(高知民報 2022年10月2日号)