2017年9月15日

西敷地プロポーザルの中止を 検討委欺く一般定期借地権設定 迫哲郎議員
 
 西敷地に予想されるマンションのイメージを示す迫議員(2017年9月14日13時50分、高知市議会本会議)

9月14日、高知市議会本会議における迫哲郎議員(共産)の質問のうち、西敷地問題に関わる部分の質問と執行部答弁の要約を紹介します。

定期借地権

迫哲郎議員 3月議会でプロポーザル選定委員報酬予算の削除を求める修正案が新こうち未来から出され、共産、市民クラブの1人が賛成したが、少数否決となった。原案は賛成多数で可決されたが、賛成した議員は市の「利用方法は事業用定期借地権を想定している」という市の説明を信じて賛成したことになる。

その後、議会の手が届かない段階にきて、「事業用」を外した基本方針が作られ、何もなかったかのようにプロポーザル公告が行われた。

市長は検討委からの報告書の11機能から幅広く提案を受けるため「事業用定期借地権」からマンション・住居系も可能な「定期借地権」一般に書き換えたことは「問題ない」と答弁している。

しかし11事業はどれひとつとして、一般定期借地権でないとできないものはない。当然だ。当時検討委事務局を担当していた職員は、すべて「事業用」の範囲で考えていた。「事業用を想定している」という検討委での説明は市民や議会を欺く方便だったのか。

岡ア誠也市長 利活用検討委では事業用定期借地権の設定を示していたが、委員からの意見で基本的考え方にとらわれることなく、幅広い議論をいただいたので、検討結果の報告や議会の意見を踏まえ、民間事業者から自由度の高い発想による提案を幅広く求めることができるように事業用に限定せず一般定期借地権も可能とした貸し付け方針とした。

迫議員 検討委員会の責任にするな。市長の意思で変えたのではないのか。事業用をのけて何でもOKという議論が検討委であったか、マンションがいいという意見が出たか。いいかげんにしてほしい。

借地料算定

迫議員 公有財産規則では公有財産の処分に関する価額は、適正な時価によるものとある。募集要領には当該土地の価額について、平成29年度土地評価基準をもとに算定した価格とありu単価15万7000円(年額1610万2296円)と記載されている。西敷地は市有地なので市は土地評価額を持っていないはずだだが、どこの土地評価額をもとに算定したのか。

松村和明商工観光部長 隣接するひろめ市場北側の東西の市道と、ひろめ市場東側の南北の市道の固定資産税路線価に奥行補正を行って固定資産税の評価額を算定し、固定資産税の宅地の評価額は地下公示価格の7割となっていることから前段で求めた評価額を0・7で割り戻して算定した。

迫議員 (追手前小跡地の)追手筋側に路線価はなく、西側は11万2000円、東側は16万1700円でかなりの開きがある。たとえば路線価を14万円で計算すると年額貸付料は2050万円となり年400万円以上の開き。

実際の土地取引では追手筋や帯屋町の容積率500%の土地は37〜23万円で取引されている。公有財産規則にある適正な時価は、実際の取引価格に近いものでなければならない。

いの町で町有地を適正な価格より安く売却したことで元町長が差額を賠償させられている。今回は売却ではないが、その種の問題になる可能性がある。マンションもありという土地であり、不動産鑑定による公平・適正に算定された価額により、高知市に損害を与える可能性のない契約を求める。

延期による損害

迫議員 オーテピア正面玄関前の西敷地は、時々の市民の声を取り入れる自由な空間にすることがベストだ。オーテピアの来客は土日は1日数千人を想定しているが、施設内駐車場は100台。このままオープンすれば、たちまち駐車場不足で大混乱する可能性もある。自由な空間として確保しておけば、しばらくは臨時駐車場として利用することもできる。オーテピアがオープンして数年間は市民要望も変化する。急ぐ必要はない。

このままプロポーザルを進めると、県外の大手建設会社を中心とした企業グループにより、安易に下層階を集客施設、高さ制限がないので上層階を容積率一杯にマンションにして集客事業がうまくいかなくても、マンション経営でカバーできるリスク分散を加味した案になりかねない。可能な延べ床面積は12820平方メートル。4階まで市役所の第二庁舎ほどの建物に50戸のマンションを乗せられる面積。平地にはマンションの駐車場も必要。広場機能はお飾り程度になる。そして50年間、市民の手に戻ってこない。本当にこれでいいのか。

今なら、まだ止められる。今議会中なら提案予定業者から多額の損害賠償を請求されずに延期は可能ではないか。

弘瀬優総務部長 現時点でプロポーザル手続きを延期することで事業者に賠償すべき損害をあたえることはない。

迫議員 プロポーザル選定委はあと1回だけのプレゼンで事業を決定することになっている。今回の募集要領ではマンション主体になる事業になる可能性が大きい。今ならまだ止められる。プロポーザル実施は立ち止まって考えないか。

岡ア市長 中止することは考えていない。

迫議員 中止は今の段階では考えていないようだが、まだ時間はある。ここまで説明責任が果たせない案件があったか。事業用定期借地権でやるからと検討会委員を欺いた。市長はマンション建設を可能にする一般定期借地権を求める議論が検討委であったかのような話をしたが許せない発言だ。後付けでマンション建設に有利な条件にすり替え、借地料は適正な時価でなければならないのに応募者への「思いやり」なのか安い価額になっている。

1人の市長の判断で50年先まで、市民の手の届かない土地にしてしまう。市職員からも「これでいいのか」という声が漏れ始めている。

議会での賛否による判断がない今となっては、地方自治法の枠内ではプロポーザル募集の延期を決めることができるのは市長ただ1人。今決断すれば高知市に侵害を与えることはない。西敷地の活用は急いで決めなくてはならないわけではないだろう。市民が参加する中で時間をかけて決めていくことも可能だ。

もし事業実施者の提案が市民の願いに反し、特定の業者を利するものでなれば、多くの市民はあらゆる法律で認められた権利を使い、その実施を差し止めるために、将来の高知市民の利益を守るため行動するだろう。市民の代表たる議会も可能な限りの手立てで、市民の声を汲み取る努力をすることを呼びかける。(2017年9月15日 高知民報)