2016年2月21日

桂浜「道の駅構想」の怪 M利用された防災
高知市が検討している、浦戸地区への「道の駅構想」について、市民グループから提出された公開質問状への市側の回答をみていくと、改めて「道の駅構想」が地域住民の安全をまじめに考えたものではなく、「防災」という名目を利用しているだけということが分かる。

Q防災道路について県・市の防災担当部署との合議はどのようになっているか。

A整備が確約されたものではないこことから、防災部署との具体的協議は行っていない。

Q地元自主防災組織との協議は何時、どのような内容で行われたのか。

A道の駅整備は現段階では確約されたものではないことから、協議は行っていない。

 「道の駅構想」をすすめていくにあたり、岡ア誠也高知市長をはじめとする執行部は、「地域防災力の向上」ということを繰り返しているし、1188万円の予算を投じ現在進行している同構想の可能性調査のタイトルも「高知市長浜浦戸地区における地域活性化及び地域防災力向上のための基盤整備検討調査」となっている。

この構想の核は「道」を市が引くところにある。道がないところに県道並の「防災道路」を市が引いて、観光施設や直販所と接続させる。「道の駅」というのは既に道があり交通量が多いところに設置するのが普通だが、この構想は真逆で、市が道を作り客を引き込むというのである。そのような「道の駅」は全国どこにもない。

いくら岡ア市長といえど、新たにつくる「道の駅」に接続する目的だけでは、県道並に幅員がある道路をつけるわけにはいかなかったのだろう。

そこで利用されたのが「防災」だった。3・11後、南海トラフ地震対策への市民の意識の高まりを利用し、「防災」と銘打てば道を付けやすいと踏んだのか。

しかし、「防災」というからには、実際に避難するのは浦戸地区の住民である。本気で対策を強めるつもりなら、この機に地域で住民の命を守るために、どのような施設が必要かということを徹底して議論するのは当然であるにもかかわらず、肝心の自主防災組織にも、市の防災担当部門にも話すらしていないという。これほどずさんな市政でいいのだろうか。

このようなやり方は、防災行政で最も重要な住民と行政の信頼関係を失わせ、日々住民の命を真剣に考えて仕事をしている市職員や地域の関係者の足を引っ張る行為である。この計画の余りのいい加減さを見かねた市職員からも、不満の声が聞こえてくる。(つづく)(2016年2月21日 高知民報)