2016年1月31日

桂浜「道の駅構想」の怪 J保安林解除 ハードル高く
 
前方の森が保安林に指定されている
2015年12月15日の高知県議会本会議で、本連載で問題点を指摘してきた@桂浜「道の駅構想」、A仮称・仁井田産業団地に関しての森林伐採について取り上げられた。質問者は中根佐知議員(共産)。

@、Aとも事業の責任は高知市にあり、計画そのものの是非について県議会で議論にはならないが、このような大規模開発の場合、ほとんどの場合に森林伐採を伴うため、一定以上の面積の伐採時には森林法に基づき知事の許可を必要とするなど県の関与が出てくる。
  
中根議員 (道の駅構想の調査エリアには)大正時代から指定された森林法に基づく風致保安林が約8ヘクタール存在している。浦戸湾の緑豊かな景観を醸し、浦戸・長浜地域の自然を豊かにしている。浦戸湾、土佐湾の環境維持や風水害を軽減する役割も果たし、浦戸城跡の保存・活用が注目される中、城下町を偲ばせる町並みの重要な要素ともなっている。今回の構想は、かけがいのない役割を果たしている風致保安林を壊すことになりかねない。代々守り続けてきた環境、自然を後世に残すことは行政の重要な使命であり、森林法と行政の使命に基づく対応を強く求める。
 
 この質問に、大野靖紀林業振興・環境部長が以下のような答弁をした。

大野部長 保安林の解除については、高知市から解除申請等の具体的な話はきていないので、一般的な保安林解除について説明する。保安林を解除できる要件として、指定の理由が消滅した時、または公益上の理由により必要が生じた時と、森林法で定められている。指定理由の消滅とは、自然災害などにより保安林が破壊され復旧が困難な場合等を想定したもので、公益上の理由とは、公共の道路開設などだが、その場合も、その土地以外に適地を求めることができない場合であり、必要最小限の面積に限り保安林解除ができることとなっている。
 
大野部長の答弁は、保安林を解除する際の要件の厳格さを強調する内容で、構想の調査地に「防災道路」が必要という話になり、それを引く目的であっても、高知市都市建設部が思い描くような2車線で歩道がついた観光道路を兼ねる道ではなく、避難者が徒歩で移動するのに必要最小限の幅員しか認められないことも考えられる。土木行政に詳しい元高知市幹部からは「実際には保安林を切るのは難しいだろう」という声も聞かれる。

一方、それでも強引に観光道路を兼ねた「防災道路」を引こうと、保安林を避け稜線の南側に高架を張り出して道を付けてはどうかという声も聞こえてくるが、そうなれば建設費の高騰、耐震性への脆弱さなどの問題も多く、簡単に実現するようなものとは思われない。保安林指定事務を受け持つ県治山林道課の安岡泰平課長は取材に対し「高知市から具体的な計画の話はきていない。今は何も言えない」とコメントした。(つづく)(2016年1月31日 高知民報)