2016年1月10日

桂浜「道の駅構想」の怪 G横矢社長インタビュー 「売っても元とれない」
和住工業が入るWAZUMIビル(高知市中宝永町)
昨年12月22日、、浦戸「道の駅構想」と仮称「仁井田産業団地」のキーマンである株式会社和住工業の横矢忠志・代表取締役(73)が高知民報のインタビューに応じた。これまで横矢氏への取材は電話で済ませていたため、「面談して取材したい」と申し込むと、「今からでもかまんですよ」と拍子抜けするほど快く応じ、90分間にわたり、「道の駅構想」や仁井田産業団地への自社用地売却について「元が取れず、避けたい」と否定的な主張を繰り返した。

横矢氏の頭の回転は速く、ひっきりなしにかかる部下からの電話に出て素早く指示を飛ばしながらのインタビュー。横矢氏の話は、およそ以下のようなものだった。



横矢 浦戸「道の駅」も仁井田産業団地にも和住工業としては、できれば土地は売りたくない。高知市に売っても鑑定評価が下がっており、投資した費用を回収できず元が取れない。高台移転を希望する企業は多く、たくさん言ってきている。独自に民民でやったほうが、はるかに金になる。人に悪く言われてまでして、どうして土地を安く売らなければならないのか。色眼鏡で見ているのではないか。

仁井田の産業団地用地では和住工業は4メガワットの太陽光発電の許可を取得済みで、できるならそれをやりたいが、高知市が「どうしても」というなら協力するつもりはある。

浦戸の用地はどうか?

横矢 高知市に3億や5億円で売っても安すぎる。売却税もかかりプラスにならない。できれば資産として置いておきたい。NTT関連会社に土地を賃貸して2メガワットの太陽光発電をやる計画があり、今はそれに待ったをかけている状態。3月にはNTT側が四国電力に保証金を納めなければならず、判断の最終リミットは2月末だ。

高知市は3月末に出される調査結果をみて判断するとしている。

横矢 本当は昨年10月までに結論を出すという約束を延長してきている。NTT側には「早くやらせてくれ」とたびたび言われており、3月では遅い。そのことは市側にも話している。

−問題になっている「道の駅」より太陽光のほうがよいのでは。

横矢 和住工業としては賃貸した収益で財産管理をやっていく絵は描けており、「道の駅」構想と併行してNTT側地と太陽光発電の計画を粛々とすすめていく。ゴルフ練習場を閉鎖する準備もすすめている。どうしても「道の駅」が必要なら、そのリスクは高知市がとるべきだ。

あの土地は温泉も出るので中土佐町久礼の大正市場と黒潮本陣のようにしたいようだが、あんなところでやるくらいなら、新しくできる高知中央IC近くに盛土してやればよい。

−「道の駅」構想の調査用地の大半が和住関連の土地であることが誤解を招いている。

横矢 わしでもそう思う。何でも和住、和住ではいかん。当の本人が賛成してない。



横矢氏は浦戸地区、仁井田地区の自社用地を高知市に売却することに消極的な姿勢を強調しつつ、「行政がどうしてもと言うなら協力はする」とも述べ、土地売却を否定はしなかった。

百戦錬磨の横矢氏の言うことを額面通りに受け止めるわけにはいかないが、「道の駅構想」への厳しい世論のひろがりを察知してのこともあるのだろう。そこは嗅覚の鋭い豪腕経営者であり、「転進」の選択肢があること、高知市側の対応に満足していないことも伺わせた。

市民に「おかしいのではないか」という声がひろがり、市政の焦点と化しつつある「道の駅構想」を、市側が当初の計画よりも前倒ししてGOサインを出すことは現実的ではない。横矢氏側が太陽光発電計画を進めるのであれば、「道の駅構想」は雲散霧消することになる。構想の計画地内にあるゴルフ場用地に、メガソーラーを設置するのであれば、新たに森林を伐採するわけでもなく、民間企業の責任においてやればよいことであり、それなら周辺住民も納得しやすいだろう。一連の経過をみると問題は公正さを幾重にも逸脱した高知市行政の体質にこそあるという感を強くした。(つづく)(2015年1月10日 高知民報)