2015年12月13日

桂浜「道の駅構想」の怪 F現状回復の方法固まらず
 
和住工業によって削りとられた十市パークタウン裏山
南国市の十市パークタウン(以下パークタウン)の住民の強い批判により、南国市が和住工業に一度は出したパークタウン裏山の開発許可は撤回されることになった。

「正式に取り消すための手続きを準備している(南国市財政課)」状態となっているが、やっかいなのは、すでに南国市が出した許可により、すでにパークタウン裏山の一部が削り取られて、樹木が伐採されていることである。

住民側からは現状復帰を求める声が強くあがっているが、一度削ってしまった山を元に戻すのは容易なことではない。

10月25日、南国市十市の高齢者多世代交流センターで開かれた説明会の場で許可の撤回を確約した橋詰壽人市長は、現状復帰の手法についても提案したが、その内容が削りとった山を前提に、さらに和住側が有利になる形で後始末をするものであったため、住民が猛反発。南国市側が提起した現状復帰案は了承されなかった。

橋詰市長は住民の納得がいく現状復帰のために、住民代表と掘削された裏山の現場で具体的に説明しながら共に方法を考えていくと確約をせざるをえなかった。

その後、市長選をはさみ(無投票で橋詰氏が再選)、12月上旬時点では住民代表との現場での検討はできていない。住民感情が硬化していることもあり、橋詰市長としても丁寧な対応は至上命題。いい加減な「後始末」できない。解決には一定の時間を要することが予想される。

南国市が和住側に出した許可条件には、「施行計画を中止する場合が生じたときは、申請者の負担において当該市有地を現状に復すること」、「条件を遵守しない場合、この工事許可を取り消す。その際は当該市有地を現況に復すること。また、その場合に申請者に損害を及ぼしても南国市はその責めは負わない」とあることから、住民側はこれを実行させ和住側の費用負担で切った山を戻し補強して植樹することを求める声が強くある。

このような状況下で住民の中に「和住が損害賠償訴訟を起こす」という噂が流れはじめたが、訴訟を起こすとなればパークタウン裏山の土地は、南国市有地分と和住側所有分の境界の土地の形状が確定されておらず、それがどのような形で決着するのかも不透明さを抱えた紛争地であることを広く周知させることになる。これは高知市の重点施策である仁井田産業団地計画にも陰を落とすことになり、現実には訴訟を起こすことは考えにくい。(つづく)(2015年12月13日 高知民報)