2015年11月29日

桂浜「道の駅構想」の怪 D「官民連携調査」、予算流用で
 
官民連携調査エリアにあるゴルフ練習場
2015年8月18日、高知市議会建設環境常任委員会に同都市建設部がひとつの報告をした。

内容は部内の予算流用の事後報告について。

 「官民連携基盤整備調査事業」400万円が、1200万円へと事業費が増額されたが、議会で議決を得る補正予算に計上するという通常の手続きをとらず、部内予算を流用してコンサルタントに発注した事後報告だった(執行額は1180万円)。

通常の行政的な流れでは3月議会で議決される当初予算に計上できない場合は、6月、9月議会などで予算を補正して執行するのが一般的である。なぜ議会に諮らず、急いで予算を流用しなければならなかったのだろうか。

むろん、部内の予算流用は違法ではない。必要性がある時には認められるものだが、あくまで例外であり、原則は予算を市民の代表である議会に事前に説明し、チェックを受けてから執行するものである。

それならば、6月議会の建設環境委員会に報告がありそうなものだが、なぜか6月議会が閉会してしばらくたった8月18日の臨時議会中に唐突に流用報告がされており、不可解さは残る。

桂浜「道の駅構想」の周辺には、どうして、これほど不自然なことばかり目立つのであろうか。

浦戸ありき

予算を流用までして同都市建設部が発注した「官民連携調査」事業は、平成26年度に同部が実施した「低・未利用地有効利用活用基礎調査」の結果(浦戸と宇賀を最優先開発地域に指定)に基づき、浦戸地域での@地域振興、A防災機能強化のための基盤整備を官民連携による事業化=高知市が直接関与して予算を投入する事業としての有り様をコンサルに委託して「調査」するものであるが、ここでまた不可解な事実が浮かんできた。

同部都市計画課が最初に浦戸の「官民連携調査」の予算を要望したのは26年11月である。これは「低・未利用地調査」(26年7月開始、27年3月に報告が提出)が実施されている真っ最中のことで、まだ終了していない。「優先的」に活用策を検討する土地も、この時点では定かではない(ことになっている)。

調査が終わらないうちから、「浦戸ありき」ですべてが動きはじめているのが実態。これではまるで「デキレース」ではないか。同課は「調査の途中でコンサルと、うち合わせもしている」と苦しい言い訳をしていたが、説得力はなかった。

要するに、連載@で紹介したように26年秋の新風クラブ=竹村邦夫議員の質問とそれに答えた岡ア市長の答弁が先走り、「防災」と言うなら最も肝心な住民の総意を得ることもなく、行政的な手続きを歪めたずさんな「調査」、予算流用などで強引に「道の駅」に向かって突き進んでいるのが今日の状況である。

おそらく年度内には「官民連携調査」の結果が出される。結果はおよそ想像がつく。「下馬評」通り、「防災道路」という市道を引いて「道の駅」と物販販所を設置することで採算がとれ、防災力のアップにもつながり推進すべきというものになるのだろう。

28年度当初予算に「道の駅」事業を具体的する予算を計上してくる可能性もある。ただ、これほど露骨に特定業者の所有地を市行政が深く関与して利用・開発することは過去に例がない。あまりのひどさに、市民の関心も高まりつつある。

今後の高知市議会、県議会(保安林で県の関わりもある)での行方とともに、市民が市政をしっかり注視し続けていくことが最大の歯止めになっていく。(つづく)(2015年11月29日 高知民報)