2015年11月22日

voice 「外国語獲得に早道はない。絶対時間に比例」 坪谷ニュウエル郁子・バカロレア機構委員

言語の獲得に早道はなく、絶対数(時間)に比例してしまうという事実がある。

アメリカ国務省が、それぞれの国に人を派遣する時(必要とする学習時間)、英語とその言語がどれくらい近いか、離れているかで3段階に分けており、スペイン語はあまり離れていないので800時間、日本語は一番離れているところに分類されて2750時間。

語学教育で有名なカナダ・ケベック州はフランス語話者と英語話者が、入り組んで住んでおり、隣の人と話ができない状況をどうしようかと州をあげてフランス語を英語話者に40数年教えているが、研究データをみると、その言語に囲まれて言っていることが分かって、言いたいことがまあまあ言える、ストレスを感じないレベルに最低2000時間。高校卒業までに8000時間を与えている生徒もいる。8000時間は母国語以外の言語の大学に進学するのに必要な時間とされている。

日本人は母国語の日本語には生まれてから高校3年生まで63000時間触れている。

語学学習は残念なことに、絶対数に比例してしまう。という事実がある。

先生方、一生懸命いろいろ工夫しながらやって素晴らしい努力に感心したが、しかし学校教育の中では、オファーできる英語の時間数には制限がある。中学・高校で700時間くらい。これから小学校3年生から入るとしてもプラス200時間、900時間だ。

900時間には900時間の結果しかでない。これが残念ながら事実だということを私たちは認めなければいけない。

先生の教え方によっては、3カ月でペラペラに喋れるなどという魔法の薬はないということを、誰かがはっきり発言しなければならない。

文科省はどう思っているのか。今の状況では最低限までに1300時間足りない。これを学校外で補うと考えているのか。学校外で補うとなれば家庭の経済的な状況によって教育格差が生まれてしまう。(11月6日、高知共済会館、第3回グローバル教育推進委員会での発言)(2015年11月22日 高知民報)