2015年11月22日

桂浜「道の駅構想」の怪 C不正常なプラン書き換えが呼び水
 
この森を伐って「防災道路」を引くことが想定されている

「2014高知市都市計画マスタープラン」に「防災道路」と「高台を利用した土地利用」というキーワードがパブリックコメント後、検討委員に無断で挿入されていた問題で、当時の責任者だった海治甲太郎・元都市建設部長(現在は上下水道事業管理者)が取材に応じた。

海治氏は自らの判断でプランを書き換えたことを認め、市長や市議などからの指示については否定した。
 「宅地化された市街化調整区域の利用をすすめる方向性は基本方針で示している。時間がなくパブリックコメント後になったが、マスタープランは強制力があるものではなく、細かい点では弾力的なこともありうる」とコメントした。

「当時の問題意識は、墓地の開発申請が出たままで長く塩漬けになっていた西側の土地にソーラー発電の動きなど利用の可能性が出てきたので、ゴルフ場とともに企業の高台移転用地等として利用の可能性を書いておくべきと考えた。ちょうど香南工業団地が売りに出された時で、高知市の産業空洞化を避けたい思いがあった。道の駅という話は当時は全くなかった。和住の土地を狙ったわけではない」と述べた。

地区計画

海治氏の話からは、「高台の利用」は、市街化調整区域内で既に開発済みのゴルフ場と現在ソーラー発電に使われている用地を念頭に置くものの、あくまで民民レベルであり高知市が関わるような開発は想定していなかったことが読み取れる。

一方でプランにはこの時「高台の土地利用に合わせ、防災道路を整備」との一文が挿入され、「防災道路」と称した浦戸大橋からゴルフ場までの大規模な2車線市道建設という今日の「道の駅構想」につながり、海治氏の話を額面通りに受け取ることもできない。
当時、都市建設部内にどこまで認識があったのかは確かめようもないが、不正常なプラン書き換えが“呼び水”になったのは確かだろう。

翌2014年度に実施された「低・未利用地有効活用基礎調査」では、桂浜との「地域連携軸」という言葉を加え、さらに市議会の答弁で岡崎誠也市長が、市が直接関与する「官民連携」、「道の駅構想」に言及する。高知市の都市計画行政に精通するK氏は「市街化調整区域を開発するなら、住民が参加した都計法による地区計画策定を時間をかけてやるべきだが、そんな状況はない。市職員が地元に入っておらず、住民の要求もよく分らない。保安林を切るのは難しいだろう。あの場所に直販所を作っても採算がとれるとは思えない」と市長主導で市が直接関与する前のめりには首をかしげる。

4選を果たした岡崎誠也市長は公約に「浦戸・長浜地区の活性化にむけた道の駅の調査・整備」を掲げ10月22日の本紙の取材にも「浦戸小をなくしてならない。浦戸に人が住めるようにするため必ずやりたい」と意気込んでいた。「道の駅」と浦戸地区の人口減少を食い止めることがダイレクトに結びつく論法には違和感を覚えたが、強い意欲は印象的だった。岡崎市政の桂浜「道の駅構想」への傾斜は、これだけではない。(つづく)  

桂浜「道の駅構想」  高知市浦戸の和住工業関連会社が所有するゴルフ場、別会社が設置している太陽光発電所、山林など約30ヘクタールを、高知市が直接関与した「官民連携」による開発手法について同市都市計画課がコンサルタントに委託して調査中(予算は1188万円、2分の1が国費。調査結果は年度末に出される予定)。

目的は「高知市南部地域において、地域の景観や歴史・物産を活かした観光促進のための機能強化と防災力の強化を図るための基盤整備について検討する」とある。

具体的には「防災道路」と称した2車線の市道を浦戸大橋の袂から現ゴルフ場まで稜線上に約1・5qひいて「道の駅」、物産販売所などを設置しようという構想。用地の大半が市街化調整区域で一部は保安林にかかる。調査区域30ヘクタールのうち、約26ヘクタールは和住工業関連の土地(同市都市建設部の説明による)。(2015年11月22日 高知民報)