2015年11月15日

「コリア通信 ソウルの労働者」 Q粉末消化剤の洗礼
 
掛け声をかけてロープを引く労働者(ソウル市堅志洞)
警察車両と戦闘警察に行く手を阻まれた民主労総の労働者たちは正面から突破を試みる。ロープで障害物になっている警察車両を引っ張り動かそうというのだ。

現場は仁寺洞近く。大型バスほどの警察車両のタイヤホイルにロープを結び、数百人の腕自慢の労働者たちが綱引きの要領で号令一下、一斉にロープを引くのだが、なかなか車両は動かない。

瞬く間に一帯にもうもうと煙が立ちこめ視界が悪くなり、呼吸も苦しくなる。警察が労働者に粉末消火剤を浴びせているのだ。労働者はバンダナの覆面で耐えている。カメラは粉じんで真っ白になった。

大量の車両を隙間なく並べる今夏の国会前での警視庁の過剰警備はソウルを彷彿とさせる。大規模デモの鎮圧に長けたソウル警察に、警視庁が「学んだ」のではないか。

日本では実力行使を目にする機会は滅多にないが、韓国ではよくあることのようで、社会的にが一定の実力行使は容認しているようだ。労働者たちのかけ声は「ヨイショ、ヨイショ」と」聞こえ、どこか親近感を覚えた。(写真と文=中田宏)(2015年11月15日 高知民報)